労働

December 06, 2008

11月のレポートその2 「ハラスメント連続講座」第3回の講演【大橋】

Photo_3


 11月29日(土)午後、「働く女性の人権センター いこ☆る」主催の「ハラスメントに負けないために 連続講座」の締めの第3回がありました。

 締めという重責だったのですが、「日本にもハラスメント規制法を!~ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ~」というタイトルで、「実際に日本で法的手段をとるとしたらどうなるか、どういう難しさがあるか」「EU、特にフランスの取組みによる法制化でどうたたかいやすくなったのか」という内容を話しました。

 主には、例えば労災認定をとる場合に問題になることとか、裁判や労働審判を起こす場合の立証の問題とか、慰謝料金額とかいったお話をしました。
 フランスの法律については、実際のところ、自分で原典をあたったわけでもありませんので、学者の方の論文をまとめて報告するという程度だったのです。
 ただ、法制化された内容は、「挙証責任の転換」や「労働組合訴権」、「告発したり証言した労働者の保護規定」「離職の無効による復職ないし損害賠償の規定」「いじめに対する刑事罰」など、示唆に富むものです。

 どのように運用されているのかということについては、またどなたかによりレポートが出されるのを待たねばなりません。
 ちなみに、本年6月の「国際職場のいじめ学会」では、マリー=フランス・イルゴイエンヌさんの講演で、フランスでは法制化の次の段階として、定義へのあてはめ問題、つまり「どこからがいじめなのか」のライン引きに論争点が移り、肝心の職場環境の整備の問題に焦点が当たっていないという報告もありました。
 もちろん、日本より1段階先に行っているのは間違いなく、また、それだけ「いじめ」問題が根深いものであることを示していると思います。

 私の後に、ユニオンおおさかの小田みどりさんから、労働組合として取り組んでいる具体的ケースについてのお話もされました。

*~*~*~*~*

 「職場のいじめ」問題は、現に「いじめを受けている!」と思ったときに、まだストレスで精神が疲れ切る前の段階で適切に労働組合へ相談ができて、職場環境の改善に進んでいけることが何より大事だと思います。

 弁護士のところに相談に来られるのは、既に「うつ」の診断が出て休職中であったり、休職が長引いて退職または解雇されてしまったりしてからのことが多いので、「次のためにどうするか」という相談にならざるをえなかったりします。

 職場を離れてからだと、ハラスメントの証拠を確保することから難しくなります。

 労働組合がまず身近になってほしいと思いますし、弁護士への相談もなるべく気軽にしていただきたいと思います。
 

| | TrackBack (0)

November 04, 2008

10月のレポートその2 ハラスメント連続講座始まる【大橋】

200810


 私が撮っていたケーキの写真はこれです。

*~*~*~*~*

 10月25日(土)から、「いこ☆る」主催で「ハラスメントに負けないために」と題した連続講座が始まりました。

 3回シリーズで、第1回は「これってパワー・ハラスメント?~おかしい!と思う実感を大切に~」というテーマで、企業へのセクハラ・パワハラ研修を手がける「アトリエエム」の三木啓子さんが講師でした。
 研修ビデオを作っておられるので、一部を上映したり、グループワークを入れたりして、さすが工夫された講義内容でした。

 来られている方は、被害当事者も多そうでしたし、具体的な事案で困っている労働組合の方もおられたようです。

 あと、2回目が11月15日(土)に「わたしは悪くない!~ハラスメントへの対処法を考えよう~」というテーマで、フェミニストカウンセラーの周藤由美子さん。

 最後の3回目が11月29日(土)で、「日本にもハラスメント規制法を!~ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ~」というテーマで私が講師です。

 いずれも13時半から16時半ころまで、場所は天満橋のドーンセンターです。

*~*~*~*~*

 この頃、私の以前のブログに「モラル・ハラスメント」をテーマとしたものがあるため、そこから相談の予約に来られる方が増えてきました。

 モラル・ハラスメントは、家庭内の精神的暴力の問題としても使われますし、労働関係でのいわゆる「いじめ」問題を意味するものとしても使われます。
 「職場のモラル・ハラスメントをなくす会」のHPもぜひお訪ねください。定期的な電話相談の体制もとっています。

 会の方に話を伺うと、「電話の多くは『私が受けているのはモラルハラスメントでしょうか?』という質問」だそうです。
 HP上で、「イエス・ノー」で答えていくとモラルハラスメントかどうかが判断できるようなチャートを作ったらどうだろうという話も、出てきていました。

 まだ公式の定義がない、モラルハラスメントとかパワーハラスメントとか言われるものには、被害者も振り回されますが、一方、「加害者」とされた人も振り回されているようです。

 労働組合への相談には、「パワハラ上司」であったことを理由に解雇された人の相談が来ているそうです。
 ご本人にはそんな覚えがなく、嵌められてしまったように思えて被害意識を持ってしまいます。

 それも、パワハラに明確な定義がないことに原因があると言えます。
 そして、ハラスメントの本質は人間の尊厳の侵害、プライドを傷つけられるところにあるのではないかと考えますが、一方で労働現場は総体として「人間の尊厳」など考える余裕がないほどギスギスしている実態があります。これでは「人間の尊厳を傷つけてはいけない」という規範自体が成立し得ません。

 日本においてあるべきハラスメント防止法とはどんなものか、研究していきたいと思います。

|

October 26, 2008

10月のレポートその1 日弁連人権擁護大会(富山)【大橋】

 10月2日3日、日弁連人権擁護大会。富山へ行ってきました。
 2日が分科会で、3日が大会です。決議や宣言を採択します。

 2日は3つの分科会のうち、「労働と貧困」をテーマとするところへ参加。
 マスコミの関心も高く、翌日の北日本新聞にはこの分科会の記事が出ていました。

 3日の大会決議では、「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」が決議されました。
 どうも日弁連の宣伝力もまだまだで残念ですが、決議内容は画期的だと思います。「正規雇用が原則であり、有期雇用を含む非正規雇用は合理的理由がある例外的場合に限定されるべきであるとの観点に立って、労働法制と労働政策を抜本的に見直すべきである。」と明確にされました。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2008_3.html

 他に「安全で質の高い医療を受ける権利の実現に関する宣言」も出されました。
 医療事故調査制度に関して、また医療事故を起こさない人的物的態勢(医療関係者の労働条件も含めた)に関して言及した、これも画期的な宣言であると思います。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2008_2.html
 ちなみに、あと一つは「平和的生存権および日本国憲法9条の今日的意義を確認する宣言」です。
 憲法問題で特にテーマを絞ったものですが、大会では「なぜ9条を守ると明言しないのか」との発言も複数出て、一番審議に長時間を要しました。弁護士の関心が引き続き高いテーマであることは間違いありません。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2008_1.html
S081004_001


*~*~*~*~*

 そして10月4日5日は、地元富山県弁護士会でプロデュースしてくださった公式観光に、大阪の弁護士複数で参加。
 1日目は、「立山カルデラ」という自然災害の脅威を知ることのできる「砂防博物館」の見学と、立山・室堂を富山県認定の「ナチュラリスト」の方の案内で歩くツアー、そして宇奈月温泉へ。

 天候に恵まれ、色づく立山の景色を堪能しました。写真ではあの360度の壮観は写せない!残念です。

S081005_036


S081005_033


 宇奈月温泉ではトロッコ列車というものに乗って、黒部の奥の方まで行けるのですが、この切り立った峡谷はすごいです。列車の終点は欅平というところですが、ここから有名な黒部第四ダムまでは工事用の隧道しか通っていないそうで、これがまた温泉地帯を通るため大変な高熱だそうです。
 富山県弁護士会の方から、この隧道を通すための難工事を描いた吉村昭の小説「高熱隧道」の文庫本をいただきました。(希望者多数のため抽選で当たりました)
 戦時中に電力供給を確保するための国策として、沢山の地元の労働者の命を犠牲にしながら進められた難工事のことがよくわかります。
 その成果は今も壮大な黒四ダムとして残っているわけですが、そちらもまた行ってみたいと思いました。

*~*~*~*~*

 宇奈月温泉に泊って夜と朝と温泉に浸かり、トロッコ列車にも乗りました。ちょっと雲が出てきて怪しい天気でしたが。
 宇奈月温泉の泉質は、さらっとしたクセのないものでした。川の水音を聞きながらの露天風呂は気持ちよかったです。

 さて、「宇奈月温泉」と聞くと、民法を勉強した人は「権利濫用」という言葉を思い出すはずです。

 我々弁護士は、「宇奈月温泉木管事件の現場はどこにあるのかな?」と半分冗談、半分本気で期待していたのですが、一部メンバーで「記念碑」のあるところへ連れて行ってもらうことができました!

S081006_020

S081006_017

S081006_018


 これでもう思い残すことはないと満足いっぱいです。

*~*~*~*~*

 富山はちょうど白エビの季節で、十二分に堪能させていただきました。富山はよいところです。

 そしてナチュラリストの方が「自然のフィトンチッドで精神が安定します。40分自然の中を歩くと、1カ月は持ちます」と言っておられたのも思い出します。

 富山では何時間もフィトンチッドを浴びましたが、そろそろ1カ月、また浴びたくなりました・・

(一方、この4日間のために、その後に仕事を押しやったのも間違いありません。しかし、弁護士にフィトンチッドを吸わせてくださると精神が安定しますので、よろしくご了解くださいますよう。)


| | TrackBack (0)

June 15, 2008

「国際職場のいじめ学会」参加報告【大橋】

08060304_024


 6月4日から6日まで、カナダ・モントリオールのケベック大学モントリオール校(UQAM)で、第6回「国際職場のいじめ学会」「bullying_Aff_Envoi.pdf」をダウンロード

が3日間にわたり開催されました。以下はその参加報告です。

*~*~*~*~*~*

  参加者は、「NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク」代表で奈良県立医科大学講師の御輿(おごし)久美子さん、社会保険労務士で臨床心理士の涌井(わくい)美和子さん、「職場のモラルハラスメントをなくす会」メンバーの長尾香織さんと宗景(むねかげ)なつ子さん、私の友人で「アジェンダ」編集部の藤井悦子さんと大橋の6名。

  事前の早期割引申込でも525カナダドルがかかった。結構高いなと思われる金額であったが、これは英仏の同時通訳設備を要したからだと思われた。

  第1日目の開会式では、同時通訳イヤホンの説明がないままにフランス語での挨拶が2人続き、3人目が英語で話し始めて、会場が「どうなってるんだこりゃ」という雰囲気になり始めた。私は、英語とフランス語は親戚のようなもので、みんなどっちでも理解できるのだろうくらいに考えていたが、やはりそういうものではないようで、同時通訳イヤホンの借り出し説明がなされた。要するに段取りの不備だった。

  しかしやはり英語は世界言語。フランス語圏以外の人は英語でプレゼンテーションをするし、コーヒーブレイクには英語で挨拶を交わしている。英語が聞き取れないということの不自由さを痛感する3日間だった。同行者はそれぞれに英語をそれなりに話せる人たちであったため、私はその人たちから独立してコミュニケーションをとることができなかったのである。他人の手をわずらわすと思えば、自分の聞きたいことを聞くのにも遠慮が起こる。最低、リスニングができなければどうにもならない。スピーキングはブロークンでも自分のペースでできるが。

  どうやったら英語耳が得られるのだろうか? そんなことばかり考えながら、プレゼンのパワーポイントの英語を読み、デジカメで記録し、そこの単語を電子手帳で引き、説明の英語は全く聞き流していた。見事に聞き取れないものだと感心した。
  
080605_044

(御輿先生のプレゼンテーション)

*~*~*~*~*~*

  しかしそんな情けない3日間の中でも、同行者の「職場のモラルハラスメントをなくす会」メンバーが頑張って、事態はそれなりに進んでいった。

  職場のいじめ(モラル・ハラスメントとフランスでは名付けられている)問題は、取組みが先進的なのは北欧・フランス・イギリス・アイルランドといった国を中心とするヨーロッパであり、北米はぼちぼち。南米や他地域はこれからというところである。
  日本においても、「いじめ」「パワーハラスメント」が昨今関心を呼んでいるのは感じられるが、それは「過労自殺」の一要因としてのうつ状態として労災認定の中で認識され、あるいは最近は職場に必ず存在すると思われるメンタルヘルス系休職者の増加から来ていると思われる。未だ組織だった研究もないし、職場のいじめの防止義務を立法化する動きなど未だカケラも認められないという状況にある。
  だから、職場のいじめについての対策を日本でも推し進めよう、そのために学会を日本に招致して気運を盛り上げよう、というのがこの学会へ前回(2年前の第5回学会)以来乗り込んでいる「職場のモラルハラスメントをなくす会」の意気込みであり、私も共感しているところである。
 
  今回、学会が単なる回り持ち交流会から組織化へ進み、国際組織として7名の理事を選出して設立された。この7名の中に日本人を誰か入れたいという思いがあったが、さすがにそう簡単に理事が務まるものではなく今回は断念。理事になるには職種等の条件がある他に、何しろ英語で丁々発止のやりとりができなければ付いていけないのである。
  その代わり、メンバーは精力的に理事や他の参加者と交流し、2年後は無理だとしても4年後の学会を日本に招致することを見越して、この1~2年でアジア・オセアニア地域での国際会議を持ちましょうという展望をまとめた。
  今回の学会も、アジアからの参加者は遠方であることもあるのかほぼゼロであった。辛うじてインドからの参加者が理事にも選出されたが、韓国の参加者もイギリス留学中、他の1人の日本人参加者もアメリカで臨床心理の仕事に就いている人だった。(発表内容は日米のいじめ内容の比較研究であり、研究の深化を期待したいところである)
  アジアでの運動の盛り上げはこれからである。

*~*~*~*~*~*

080605_019


  職場のいじめ問題は、フランスから直輸入した「モラルハラスメント」という言葉を用いると概念がイメージしにくいところがあるが、結局は「職場環境の中でのストレスフルな言動」のもたらす問題であり、被害従業員側からすれば「快適な職場を提供されるべきなのに心身を害する環境に置かれている」という雇用契約に付随する使用者の職場環境整備義務の債務不履行の問題である。

  ただ、加害従業員ないし経営者側からすれば、故意による「いけすかないからいびる、自ら退職するように仕向ける」というものから、そういう認識はなくて「仕事上のミスの指摘が行き過ぎた、あるいは思いがけず指摘された方が落ち込んでしまった」というレベルのものまでを包括すると思われる。
  単なるコミュニケーションギャップ、「言わなくてもわかるはず」がわかっていないという問題であれば、なんとか相互に近づくスキルを習得することで改善は図れるだろう。
  しかしそうではなく故意によるといえる、ストレスのはけ口のようにして他の従業員を攻撃する事態は深刻である。DV(ドメスティックバイオレンス)をはたらく夫(あるいは妻)の病理も最近は理解が進んできたと言えるが、結婚してしまったものを離婚で解決するのには多大な労力を要する。職場の「いじめ魔」対策もまた、被害者が職場を離脱するか、「いじめ魔」を職場から追放するか、というシビアな問題を提起する。これにはDV同様、和解はないであろう。
 職場のいじめ問題も、DV同様に、関係解消後の被害者の生活設計を社会がいかに援助するかを抜きに語れないし、加害者にはどんな働きかけが必要か(理解させることは困難であろうが!)を研究し何らかの取組みをすることも今後の課題となるだろう。

 職場のいじめ問題を国際的な視野と協力をもって、しかし国内で地道に普及を図る活動を行って盛り上げていく必要があると感じた3日間であった。特に労働法学者の協力は不可欠と思われる。
 さて2年後の次回学会はデンマーク(コペンハーゲン)またはフランスが候補地であるという。私は2年後に英語で普通にコミュニケーションができるようになっていたい。英語ニュースの聞き流しからでも目標の第1歩にはなるだろうか?

| | TrackBack (0)

April 29, 2008

「均等待遇ウェーブ」に参加して【大橋】

S_001


S_002


 今はいろいろな植物がどんどん芽を伸ばす時期です。
 うちの「プデリス」というシダの一種も、こぶしをぐっと突き出しました。開くのが楽しみです。
 まだまだこぶしが根元の方からどんどん出てきます。

 さて。4月26日土曜日、「均等待遇ウェーブ」の集会に行きました。

 ILO100号条約でも決められている、「同一価値労働同一報酬」原則の実施を求める運動の一環です。

S08426_002


 「均等待遇アクション21大阪実行委員会」の屋嘉比ふみ子さんです。
 京ガス裁判の原告だった方です。京ガス裁判は、まさに男女の同一価値労働同一報酬を求める裁判であり、和解で終了しました。

 ところで、改正パート労働法でパート労働者の労働条件が一部通常の労働者と均等に保障されることとなったのですが、適用を受ける労働者の範囲というのは、下の写真の表のとおり、ごく一部です。

S08426_001

 だいたい、パートタイム労働者は「有期雇用」なのですから、「有期でないこと」を条件にした途端に多くのパート労働者が排除されてしまいます。


 この集会で私が気に入ったスローガンです。

 「意味のない有期雇用をなくそう!」
 (産休の期間だけ来てくれる人が欲しいとか、どうしても有期雇用の需要はなくならないでしょうからこんな表現なんですね、きっと。)

 それから、気になったスローガンです。

 「パートが生活できる時給1400円以上を実現しよう!」

 子どもがいるなど、どうしてもパートで働く必要がある場合、子育て支援施策を充実させるのか、時給自体を上げるのか、二つの途があります。

 時給1400円・・今うちの事務所はアルバイトの人にこんなに払っていないので、気になりました・・

 個別事業主に時給を上げることを求めると、「これだけ払っているのだからよく働いてほしい」と思うことになり、労働現場もまた能力主義的になり労働強化の発想になってしまいそうです。

 反面、時間を使って働いてもらうのに、生活できない給料しか渡さないで平気だというのも非人間的です。うちは4時間しか要らないから、と言って、ダブルワークに追い込む。4時間だから副業でしょ、と言わんばかり。それはおかしいです。


 私は、労働法の原則に立ち戻って、改めて「おかしい」と言いたくなりました。

 「人は週40時間労働をして、健康で文化的な最低限度の生活ができるはずだったんじゃないのか!どうしてそういう社会にならないの?」


| | TrackBack (0)

May 17, 2007

「中小企業に配慮」~外国人研修・実習制度~【松井】

Cimg1970
*5/18追記 やっぱり買ってきてくれました!!ありがとう、大橋先生!
1 
 今日は、大橋は日本弁護士連合会関連の仕事で東京出張です。東京出張だと大橋はいつも事務所に「舟和」の芋ようかんをお土産で買ってきてくれます。楽しみです。


 それはさておき。外国人研修・技能実習制度の見直し論が熱を帯びてきました。動きとしては、経済産業省、厚生労働省、入国管理を所轄する法務省、そして長勢法相の私案と三つ巴のような状況のようです。
 朝日新聞の記事(5月16日朝刊)の見出しによれば、
 

「法相、『単純労働者』の容認案」
  厚労省『研修廃止』不当な労働解消
  経産省『制度拡充』中小企業に配慮」
 という状況のようです。

 お!と思うのが、「中小企業に配慮」です。本音のところなんだろうと思います。研修・技能実習制度は、「日本の高度技能を外国人に教えることが」が目的のはずです。なのになぜ、教える側のはずの企業、しかも中小企業への配慮が必要なのか。
 制度の実態は、低賃金の単純労働者を中小企業に供給するという、メリットは中小企業にある、中小企業のための制度だということになります。

3 
 ものごとの解決の方向性は、何事も「三方よし」にあると考えています。
 近江商人の商売哲学、「売り手よし、買い手よし、世間良し」。
 
 これになぞらえれば、「中小企業よし、外国人労働者よし、世間よし」になるかと。
 
 まず第一の価値観は、同じ仕事をしても外国人と日本人の給与に差があるという事実はどう考えても不合理であり、不正義だということです。労働基準法の遵守は、絶対だと思います。
 それを踏まえて、現実として、中小企業は、日本人相手に求人をかけても、相対的に賃金が低い等の理由から、労働者が集まらない、賃金が高くはない単純労働には人は集まらないという実態があります。
 中小企業の人手不足です。
 
 そこでどういう案が合理的なのか。

 現在、日本は政策としては外国人の単純労働者の受入れを認めていません。入国管理局はこの方針のもとVISAの審査などをし、取締りを行っています。
 この政策の転換です。
 「法相、『単純労働者』の容認案」に繋がります。

 では、なぜ今まで、外国人の単純労働者を受け入れて来なかったのか。
 日本の国益を害するから。
 どのような国益なのか。
 日本人労働者の仕事を奪う、という点にあったのだと思います。また、事実の裏付けはないんではないかと思うのですが、外国人の増加による治安の悪化なども挙げているのかもしれません。
 先日、新たにフランスの大統領となった人は、フランスへの移民に対して厳しい非難を繰り返していたようです。
 
 こういった政策を転換し、思い切って外国人の単純労働者を受け入れる。

 外国人もまた、なぜわざわざ日本で働くのか。本国で働くよりは基本的に高賃金を稼げるからという理由がおそらくもっとも多いのかと思います。現状は。
 外国人労働者を保護というのであれば、日本では働けないようにするのが一番です。日本にいなければ搾取されることもない。
 でも、働きたいから日本に来る。

 そこで、実態が労働であるのなら、日本人労働者と同じように法制度上、労働者としての権利を手に入れられるようにするのが外国人にとってもメリットが大きいのではないでしょうか。
 
 どういった職に就くのかは自由です。
 
 自由の状況において、自ら、国内では相対的に低賃金の職に就くというもの自由と選択の結果です。そこにおいて、労働者としての権利を保障されればいいのではないでしょうか。
 
 「研修制度」の仕組みは、「JITCO」という団体が総元締めとしてしきっています。
 「中小企業に配慮」という経産省の本音は、「JITCO」の権益確保でしょう。
 なぜ朝日新聞はそういったつっこんだところまで報道しないのか。分かっているけど書かない、分かっていないから書けない。どちらかは分かりません。
 中小企業の保護っていったって、労働基準法に反した低賃金で「労働させること」は駄目でしょう。やっぱり。不正義。研修生受入企業の全部が全部とはいえませんが、実態は「労働」、しかも搾取といった状況で、「研修」という名でやり過ごしていただけのことなんでしょうから。ずるい、やはり。「偽装請負」とどう違うんだ。実態でなく、名称の問題としてすり替えるところがいやらしい。

(おわり)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

March 01, 2007

人を大切にしない経営者~信用できる?~【松井】

 いつも行く施設の職員の方が、「今日で終わりなんです。」と気のせいか涙ぐみなが言った。
 聞くと、あなたが担当する仕事はなくなったということだった。もう1年は働きたかったけど退職を促されたということだった。聞いている方が涙しそうになった。



 
 一時的に仕事はなくなったかもしれないけど、大変なときに職場に来て支えてくれた人を「もう要らない」と本人の働き続けたいという希望に反して、そう簡単に切り捨てていいのか。

 確かに、経営として赤字のまま何年も走り続けるというのもナンセンスだと思う(日本という国は赤字のまま走り続けているけど・・・。上海、大丈夫か?という不安が不安を読んで市場が簡単に暴落するんだろうな、97年のアジアの通貨危機のように。)。企業が永続性を保つためには、どこかで黒字にしないといけない。でないと市場からの撤退になる。赤字を黒字にするには、収入を上げるか、支出を絞るかしかないので、支出を絞る方策として、やむを得ずにいわゆる「リストラ」(この言葉は好きではない。意味する内容に比して軽い感じがするから。)を行い、「過剰な人員を整理」するというのは避けられないこともあると思う。
 
 だけど、能力もあって周りからの信頼も得ていた職員、貴重な人を辞めさせるというのは最後の手段だろう。最後の手段という意味は、雇い続ける方向でいろいろと模索したうえでの最後の方策ということだ。
 
 どうも、この施設ではそういう模索をした様子がうかがえない。
 というのも、人の出入りが激しいところだなという印象を前から抱いていたこともあるのかもしれない。
 何よりも、以前出されていた広報誌に心底、驚いたことが記憶に残っていた。その年、新規事業を立ち上げたことが誇らしげに書かれていたが、その理由の一つとして、「職員の高齢化による収益の圧迫」のため新規事業に踏み切ったといったようなことががどうどうと書かれていた。
 勤続年数が長い職員の給料が高くなり、その人を遠方の施設においやって暗に退職を促しつつ、従前の職場には給料の安い若い人に置き換えていくということだ。
 当の「勤続年数の長い職員」がこの広報誌を読んだらどう思うのだろう。

 結局、働く者に対する感謝の気持ちが見えないことに不快感を感じるのだと思う。
 経営者としてどうよ。
 そんな経営者の下で働きたいなんて思わないし、人に感謝することを知らない人がいったいどんな素晴らしい事業が出来るというのか。
 自ずと経営方針が分かるというものであって、この経営者が経営する企業の先は明るくないなと思った。人を大切にしない姿をすぐ横で見せつけられる他の従業員が自身の会社を誇りに思うわけないし。
 短期的な支出の抑制に目を奪われて、長期的な利益を取り崩していく姿。
 意見する労働組合や適切なアドバイザーがいないんだろう。



 
 偽装請負の問題が去年末くらいからマスコミでようやく取り上げられ社会問題とされている。
 企業にしてみればいったん正社員となると簡単に解雇できず、仕事量との関係で調整できないので正社員化は避けたいのだろう。「請負」なら、正社員にという途はない。
 ただ、体力があり、一定期間正社員としてもおかしくはない仕事内容で働いているのであれば、それは雇用するべきだと思う。

 「人権栄えて国滅ぶ」という言われ方がある。それが唯一絶対のように聞こえるからかもしれないけど、正直なところ「人権」や「権利」といった言葉自体はあまり好きな言葉ではない。弱者保護といった視点もあまり好きではない。
 だけど、じゃあ反対に企業側の収支の理屈が全てかというとそうとも思わない。
 要は、バランスの問題だと思う。やはり近江商人の知恵で、皆がハッピーになる途を模索し、均衡を保つというのが最もよいのではないかと考えている。やむを得ず整理解雇をせざるを得ない場合でも、退職する職員の次の職場を世話する、自分のことだけではなく相手のことを気遣うというのは今後両者にとってプラスになることだと思う。
 
 こういった働く人に対する配慮すら出来ない企業の経営者がいくら広報誌でいいことを言っていても、信用できないし、この企業の利用を止めようかなと真剣に考える。
 先のない企業。沈んでいく船を見ているよう。

 今回はちょっと個人的に怒ってる!

  
(おわり)  
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 18, 2006

従業員の解雇~労働市場の流動化、「弁護士」の流動化、あるいは考えの迷走か?【松井】

1 
 11月18日付けの日経新聞朝刊の1面は、「解雇紛争 金銭で解決」となっていました。

 労働政策研究・研修機構という機関の調べによれば、企業が社員を解雇した理由としては、「経営上の理由」が約50%、次に「仕事に必要な能力の欠如」が30%弱、「本人の非行」「職場規律を乱す」がそれぞれ約20%強のようです(複数回答)。



 数ヶ月前、フランス政府による、若者の解雇の容易化を打ち出した法案に対して、各地でデモ等の反対活動が起こり、結局、法案が撤回されたという事件がありました。
 雇われる若者にしてみれば、働き初めて数ヶ月で何ら理由なく解雇されるというではたまったものではありません。
 これは若者に限らず、大学を卒業してから「就職」し、このまま60歳の定年までこの会社で働こうというつもりでいた、例えば30年の住宅ローンを組んだのに、35歳のある日、「きみ、来月、辞めてくれないかな」と言われた場合を考えたら、たまったものではありません。
 この「たまったものではない」という感情が何かというと、まさに「人生の計画が狂う」ということだと思います。人生とまではいわなくても、来月、来年とこれだけの「給料」をもらえる、「収入」があると「信頼」していたのに、この信頼が裏切られる、つまり生活設計が狂うということです。



 働く側にしてみれば、「雇用」=まず「収入」です。数ヶ月後の収入の当てがないという恐怖を味わうことになります。
 従業員の信頼を裏切ってはならない、従業員は期間の制限なく雇用されている、つまり少なくとも定年である60歳までは収入が確保されるべきという考えが、終身雇用の労働体系をもとにした裁判所の解雇規制法理かと思います。

 

 「信頼を裏切ってはならない」という考え、価値観が多くの裁判例からも裏付けられるかと思います。また、ちょっと違うかもしれませんが、「禁反言」の法理といわれるものがあります。あのときこう言っていたのに、今更違うことを言っちゃいけないといった価値観といえるでしょうか。
 今回検討されている法制度は、解雇の不当性を争う従業員に対し、企業に対して、「解雇無効確認の訴え」ではなく、「社員が職場復帰を求めない代わりに、金銭による補償を請求する訴えを認める制度」らしい。補償金の下限を年収の2年分といったように明示するようです。
 「労働組合の代表者らは解雇の乱発を招くとして警戒している。」とあるように、逆に考えれば、企業としては、どうしてもこの従業員を辞めさせたい、少なくとも定年まで働いてもらいたくはないと考えたら、その従業員が36歳であれば60歳ー36歳=24年間の給与の支払い、その他のその従業員がいてもらうことによる不都合と考えることを天秤にかければ、年収の2年分あるいは4年分であっても、それで解雇できるなら「しめたもの」になるのは明かでしょう。
 
 こうして「労働市場 流動化促す」が実現されていくのでしょう。
 流動化された「労働」は次の職にたどりつけるのか。35歳で解雇されたものが次にどのような職を見つけることが出来るのか。例えば、これが50歳だったらどうなのか。
 日経のデータをみれば、ただ日本の完全失業率は、数年前をピークに下がってはいるようです。
 
 解雇については、「経営上の理由」にしても、「仕事に必要な能力の欠如」にしても、やはり第1には、解雇回避のための雇う側の努力は不可欠でしょう、当たり前だけど。補償金制度も、この努力が第一という従前の考えを否定するものでは決してないはずです。 そして努力しても、どうしても解雇しないと企業そのものに必要以上のダメージが及んでしまう、この段階にまでいったときには確かに「補償金制度」が意味あるものであることは雇う側の立場を想像すれば否定するものではありません。
 従業員にしても、期間の定めのない終身雇用をむやみに信頼してはいけないという、不安感、不信感、緊張を要求されることになるでしょう。
 これが労働市場の全ての関係者にとって吉とでるのか凶とでるのか。私には分かりません。
 今年の会社法制定のように、まずは試してみて、駄目だったら修正というのが一番なのかもしれません。


5 
 今回の法制定の動きをみて、何を言いたいのか自分でも判然としませんが、最近考えていることの一つに、弁護士数の大増員の問題があります。
 人数が増える、新株発行と同じで一株の価値、弁護士一人一人の価値が相対的に下がる、喰えない弁護士が出てくる、喰えない弁護士は悪いことをして非行弁護士が増える、そして社会に迷惑をかけるという話があります。
 しかしそもそも、司法試験に合格し、研修所を卒業して、弁護士の資格を得たからといって、まさに「終身雇用」のように「喰える」「60歳くらいまでは収入が保障される」なんていう信頼を持つことそのものが、そもそも理由がないのではないかと考えています。
 「司法試験に合格して、弁護士になったら収入は安泰だ。」
 「大学を卒業して、大企業に就職したら収入は安泰だ。」
 
 非難囂々(ひなんごうごう)を畏れずに(いや畏れながらも)、今の自分の単純な考えを述べてみると、二つともそもそも幻想なんじゃないかしらと・・・。自営業、経営者の人で、3年先、5年先、10年先が保障されているなんて考えている人は皆無かと。
 そもそも「信頼」を寄せる根拠がいったい何なのか。それは単にそれまでの「前例」に過ぎないのではないかと。その「前例」がいったいいつまで続くのか、そのことについて責任を負うべきものがいるのか、いないんじゃないかと。大きな歴史の流れそのものに責任を負うものがいないのと同じで・・・。
 つまりどういうことかというと、自分でまとめてみるに、「幻想に頼らずに、生き抜きましょう」ということ。
 そうすれば、自分以外のものにふりまわされずに生きていくことが出来ます。
 
(おわり)
 

| | Comments (2) | TrackBack (0)

October 02, 2006

年齢差別禁止法~法律の必要性と影響力~【松井】

 10月1日付けの日経の朝刊記事から。

 年齢差別禁止法が英国で10月1日から施行されるようです。
 中身はというと。

 

「公的年金の受給開始年齢である六十五歳未満に定年を設定することや、研修や昇進を年齢で区切りることも違反となる。違反と認定された企業は従業員らの損害賠償制度におうじなければならない。社内規定の見直しを迫られる企業や組織も少なくないとみられる。」

【追記】 Europe Watchさんのブログでも紹介されていました。
そこで紹介されていた参考資料。英語だけど・・・。

 実家は自営業であったし、自身も自営業なためか、人生を逆算で考えたことがあまりありませんでした。

 会社勤務だと、定年が○○歳なので、その後の確保できる収入は年金、年金は大体見込みでは年間○○円、となると住宅ローンを組むのは△△歳までに組んで、定年までに支払いを終える必要があるなどなど。

 実際、目の前でこういったことを普通に口にしているのを耳にしてビックリしたことがあります。「ライフプラン」とはこういうものなのだとは思うのですが。


 小さな記事だったので詳細は分かりませんが、イギリスで上記のような「年齢差別禁止法」が施行されるようです。

「少子化対策の一環として高齢者雇用の促進を狙う」
ということなので、出生率、人口比率からして「少子化」「高齢者」社会の日本でも、当然、数年後には日本でもこのような制度が法制化されることは火を見るよりも明らかななのではないかと思います。

 となると。
 現実問題、日本では、「社内規定の見直しを迫られる企業や組織も少なくない」どころか、ほとんどが見直しを迫られるのではないでしょうか。
 また雇う側だけでなく、従業員の立場においてもまさに「ライフプラン」の見直しが始まるでしょう。
 
 今後の国会や法制化の動きに対して要注目だと思います。
 雇う側を拘束する法律なので、雇う側から法制化の動きが活発になることはまずないはず。となると、どこが何のために動くのかと言えば、年金制度の信用・財源を維持確保しなければならない立場の方からの動きになるかと思います。あるいは労働者団体からか。 いずれにしても大きな影響力をもつ法律となるのは間違いないので、どのようなものができあがるのかは注目です。

 消費者契約法の改正作業における団体訴権制度の導入、その中身について、様々な動きがありました。そして結果、現在の改正となりました。
 この間、消費者保護委員会の弁護士などが東京へ行き活発に関わってこられ、その中で委員として、立法過程の動きの情報を得ていました。
 先端で動いておられた方曰く、実際に効果的に行動するノウハウが必要、大切だといったことを口にしておられたのが印象的でした。
 そういう意味では、衆・参議院あわせてわずか1000人以下の国会議員の役割というのはとんでもなく大きいものです。この人たちの投票によって法律が出来るか否かが決まるのです。
 当たり前のことですが、国会議員を選ぶ選挙は大事だ、国会議員たる人の資質は大事だ。タイゾー議員は働いているのだろうか・・・。神取忍は大丈夫なんだろうか・・・。
(おわり)

| | Comments (0) | TrackBack (1)