消費者問題

April 06, 2007

「無効」~特定商取引法~【松井】

1 
 19年4月3日、最高裁判所の判断が明示されました。
 NOVAという英会話学校が定める、途中解約の場合の清算規定の合法性に対してです。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070403112951.pdf

 結果は、「無効」。


「上告人は、本件使用済ポイントの対価額について、本件清算規定に従って算定すべきであると主張する。しかし、本件清算規定に従って算定される使用済みポイントの対価額は、契約時単価によって算定される使用済みポイントの対価額よりも常に高額となる。本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を誓約するものといわざるをえない。
 そうすると、本件清算規定は、役務提供事業者が役務受領者に対して法49条2項1号に定める法廷限度額を超える額の金銭の支払いを求めるものとして無効というべきであり、本件解除の際の提供済役務対価相当額は、契約時単価によって算定された本件使用済みポイントの対価額とみとめるのが相当である。」

 特定商取引法という法律の49条1項、途中解約権の保障、同条2項1号、解約清算金について法定限度額を定めた規定、これらの趣旨について、最高裁はこう示しました。 

「特定継続的役務提供契約は、契約期間が長期にわたることが少なくない上、契約に基づいて提供される役務の内容が客観的明確性を有するものではなく、役務の受領による効果も確実とはいえないことなどにかんがみ、役務受領者が不足の不利益を被ることがないように、役務受領者は、自由に契約を将来に向かって解除することが出来ることとし、この自由な解除権の行使を保障するために、契約が解除された場合、役務提供事業者は役務受領者に対して法定限度額しか請求できないことにしたものと解される。」
 全く素直な条文解釈だと思います。

 なのに、なぜ、NOVAは途中解約の場合の清算方法について数々の訴訟を提起されながら、強行に自身の清算規定の正当性を主張し続けたのか。
 消費者が絶対に正しいものとは当然、思わないけど、多くの法律家が妥当性を考えればその結論はほぼ明かという条項について、なぜ、すぐに問題を収束させる方向で行動を変えないのか。
 硬直性に陥った企業の強弁に対する最高裁の判断。
 「あなたの言っていることは通らないよ。」

 間違うことは仕方ない。
 自分で判断し、是正していく力が企業を、人を強くする。
 

(おわり)

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March 27, 2007

裁判官と判決~転勤の季節に思う~【松井】


 3月も終わり。
 以前、何度か仕事をさせていただいたことがある会社の担当者の方が転勤で東京に異動ということで、後任の方と一緒にわざわざ事務所まで挨拶に来てくれた。
 自身の立場上、やむをえずというのでもなく、本当に親身に従業員の方のことを心配し、気遣って仕事をされていた方だった。
 こちらの都合で夜中に携帯電話に電話させていただいたことも何度かあった。
 転勤ということを聞いて少し寂しく思った。困難な状況でも穏やかさを失わない姿勢は見習いたいと思っていた。


 4月。転勤といえば、裁判官や検事も転勤の季節である。
 弁護士8年目となっても今更ながらに、いや8年目だからこそ、裁判の怖さがわかり、判決というものはつくづく分からないものだと思うことが増えるようになった。
 一番大きかったのは、以前のエントリーでも触れた遺言無効確認の事件の判決だ。
 尋問前の和解の際、合議体の担当裁判官からは心証開示をされ、この遺言は無効と判断せざるをえない
といったメッセージが明確に発せられていた。
 勝つことはできなくても、負けるわけにはいかないのが裁判と考えている。
 依頼者と共に和解の途を模索した。
 しかし、どうしても譲れない部分があり、敗訴判決を覚悟で、和解を打ち切った。

 判決言い渡し期日までの間。
 
 合議体の部長が交代した。
 そして判決言い渡しが延期されること、数回、数ヶ月。
 正直なところ、期待が高まった。
 そして、判決は、遺言は有効との判決であった。

 相手方の弁護士に対しては気の毒にも思わないでもない。和解の際の裁判官からの心証開示によって
勝訴を確信していたはずである。
 ところが・・・。
 自分が相手方の弁護士の立場でなくって本当に良かったと心の底から思った。
 と同時に、改めて「判決」の怖さを思い知った。
(ちなみに控訴審でもひっくり変えることはなく、安堵のため息)

 担当する裁判官によって右か左かを左右することがあるのである。
 だからこそ、三審制がとられている。
 それにしても。怖いったらありゃしない。
 これが裁判の実態の一つであると受け入れるしかない。
 受け入れて、準備することだけが出来ることである。

 ちなみに、各法廷の担当裁判官は最高裁のホームページから調べることが出来ます。
 だけど、なかなか探しづらい場所に格納されています。
 大阪の民事の法廷については下記のとおり。
 4月、どのように変わることやら。
 私が今担当している事件の裁判官に変更があるのか否か。
 ま、この点は前回の法廷で「転勤されますか?」と当然、確認していますけど。  


大阪高裁 民事
http://www.courts.go.jp/osaka-h/saiban/tanto/minji.html

大阪地裁 民事
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tanto/minji_tanto.html

大阪家裁
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tanto/kasai_tanto.html

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February 26, 2007

まねきTV事件~事実を尊重せよ~【松井】

Tv

 まねきTV事件というものがあります。去年の8月、仮処分決定が出たときは裁判所のホームページでも速報でその却下決定が公開されていました。
 判例時報18年12月11号でもその決定が掲載されています。
 また事件当事者のまねきTV側ではそのホームページで、抗告審の決定も載せています。
 申立人である債権者、テレビ局側が全面的に負けた事件です。

 

 
 先日研修の際に聴いた、元最高裁判所判事であった滝井弁護士の弁でも印象に残っていたのは、「最高裁判例を変えるのであれば事実を変えないといけない」ということでした。
 つまり「事実」が裁判の基礎、要であるということです。
 事実を法律に当てはめる、法律に当てはめるために事実を歪曲することは出来ません。まぁ、確かに事実といっても証拠によって認定できる事実に限られますがもちろん。

 事実認定のための手続きとして、尋問という制度があります。

 先日、「ゆれる」という西川美和監督の映画をDVDで観ました。オダギリジョーと香川照之が兄弟役で出演している映画で、昨年公開され絶賛されていた映画です。
 観てみると、被告人となった香川照之や、弟のオダギリジョーが法廷で尋問を受ける場面がありました。
 弁護人からの質問、それに対する検察官からの質問。

 「事実」はいろいろな角度から光りを浴びせて初めてその立体像が浮かび上がる(完全でないにしても)。尋問手続きにおける反対尋問というものはそういう意味があります。
 かかる手続きを経て、裁判官によって「事実」が認定されます。
 芥川龍之介の小説「藪の中」のように、死霊となって被害者が証言することがあれば別ですが、生きている者、人間の証言はとかくうさんくさいということでしょう(もちろん、死霊の証言も本当かどうか、裏付けはありません。)。
 
 このように裁判は様々な証拠から「事実」を認定し、それを法律に適用して、裁判結果を出します。すなわち、原告の主張に理由があるのか、ないのかです。基本は二つに一つです。


 まねきTVの仮処分事件では、まねきTV社のビジネス行為は、地上波放送の送信可能化行為であって、これはTV局の送信可能化権等の著作隣接権を侵害しているので止めろといった申立てがなさたものでした。

 これに対して、裁判所は事実認定のレベルで決着をつけたといえます。もちろん、法律解釈について、債権者のほうは、かっなぁり無理な解釈を展開していますが、これはもちろん独自の見解であって、裁判所は事実をもって、侵害行為なしと判断しました。

 判例時報の方で改めて決定の全文を読んで驚いたのは、債権者側がいろいろな点で本当に、あぁ、無理な事実主張、法解釈を展開しているなぁという点です。何としても差し止めしたる!という強い意図を感じます。
 そして、事実、法解釈としては、裁判所の認定、解釈の方がやはり自然、経験則に適うと言わざるをえません。
 
 テレビ局側は、「事実」を直視して対応したらいいのにと思います。

 が、しかし、何と、仮処分も認められなかったのに、本訴を提起することにしたようです(まねきTV訴訟代理人の小倉弁護士のブログ 、WINNY訴訟で著名な壇弁護士のブログ  )。
 
 意地?ですかね・・・。
 
 訴訟でバンバン対応するという正攻法でもって邪魔者を排除していくという手段は、以前のエントリーでも触れたように、元シンガポール首相のリー・クアンユー(もともと弁護士でした。)が得意とし、効果を発揮した手法のようですが、これは大企業が小企業に対して行うときは過剰な嫌がらせでしかないと思うのですが(まぁ、シャネルが日本の片田舎のスナック、シャネルを訴え、ディズニーやコカコーラが訴訟でバンバン対応して、ブランドイメージを守っていることからすれば、あながち不当とまではいえないのかもしれませんが。)。
 しかし今回の件は、仮処分で権利がないって言われているのに、なのに本訴。不当訴訟で反訴してしまったらどうでしょ。

 がんばれ、まねきTV。
 創意工夫をしてビジネス、商売を展開する人を押さえ込む動きは、やはりどうしても基本的に好きになれません。需要があるわけだから、双方が利害を調整してハッピーになれる途を模索するのが建設的な考え方、解決の仕方ではないかと思います。もっとベターな対応があるのではないかと、何にしても。

(おわり)

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October 06, 2006

賢い消費者になるためには~NEEDとWANT【松井】


 先日、「賢い消費者になるためには~悪徳商法の被害にあわないために」と題して、とある市の法の日特別講演ということで、大阪弁護士会からの派遣で講演をしてきました。
 ちなみに内容はこんな感じです。

 第1 被害にあわないように
  1 被害にあうとどうなるのか
    後悔先に立たず。
    よくある経過。
  2 とにかくパターンを知る
    敵を知り 己を知れば 百戦あやうからず。
    お金は大事。
  3 最近の事例紹介
    加害者は、素知らぬ顔でやってくる。
  4 おかしいなと思ったら一歩、踏みとどまる
    その場で署名して書類作成などしない。
    他人の意見を訊いてみる。
    引き返す勇気を持ってみよう。
  5 断る勇気を持ってみよう
    誰も家まで来たりはしない。所詮、その他大勢の一人にすぎない。

 第2 被害にあってしまったら
  1 相談する
    被害は恥ずかしくない。
    消費者センターは無料アドバイス。
    弁護士は怖くない。
  2 お金を払わない
    渡したものを取り戻すのは大変。
  3 戦う
    書面を送付。
    裁判は怖くない。
                     以上
2 
 20名ほどの出席者と少数だったので、質疑応答も入れて1時間30分ほどの講演だったのですが、もっぱらモニター商法ダンシング事件のときの騙しの仕組みや関係者がどういう利害で動いているのかといったことをホワイトボードを使って説明してきました。
 
 このとき話をしながら改めて考えたことがあります。
 「被害」というものに遭わない一番のポイントは何か。

 アメリカでは小学校で生徒に対するお金の教育で次のことをまず区別させるという記事を読んだことがあります。
  
  NEED と WANT 

 それは必要なのか?
 それは欲しいものなのか?

 いわゆる悪徳商法被害に遭わないためには、やはりまずこの確認なんだろうなということです。
 
 業務誘因販売、内職商法にしても、30万円、40万円もするパソコン学習キットなりが本当に「必要なのか?」ということだと思います。

 ここで、おやっ!?と立ち止まり、第三者に相談したら、それは騙しの手口やで!と教わりひっかからなくて済むかもしれません。
 講演会では、とにかく一人で判断せず、おやっと思ったら消費者センターにでも電話相談してくださいと消費者センターの宣伝をしてきました。
 無料だし、電話相談に応じてもらえるので、ちょっとした相談でも気軽に相談できます。

3 
 ところで、よく考えたら、弁護士の広告などではお気軽にご相談くださいとうちもそうですがアピールしていますが、電話相談に応じるところはまだまだ少数派だと思います。 なぜなら。
 弁護士は、相談者からの相談にはまず会って直接に話を聞いてから、話を聞いて、かつ直接にアドバイスすることが大事だと考えているからです。なぜ大事か。間違ったアドバイスをしない、発言に責任をもつ、そして時間制の相談料をきちんと払ってもらうという考えがあるからです。我が事務所でもこの方針を変えるつもりはありません。

 なので、本当にお気軽にご相談をというのなら、やはり弁護士事務所よりも消費者問題については消費者センターの方が優位に立つはずです。
 センターの相談員の方は、消費者問題の最前線にいます。研修を経た市の職員であり、無料だからといってもちろん無責任な回答をすることなどはありません。
 
 講演ではセンターの利用を強調してきました。弁護士にすぐに相談してくださいといえないところでのジレンマを感じながら。電話相談は応じられず、来所していただいたら時間制で1時間1万0500円を請求させて頂かざるを得ないの消費者問題でお気軽にとは費用負担を考えるとなかなか言いづらいところでした。
 
 悪徳商法は本当にもぐら叩きのようです。手を変え品を変え。
 被害に遭わないように「賢い」消費者が増えて欲しいと願っています。

以上

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July 14, 2006

燃える闘魂?~騙しの仕組み~【松井】


 大阪弁護士会では委員会活動というのが活発です。大橋は人権擁護委員会に属し、刑務所に服役中の人からの人権救済の申立ての調査、つまり職員から暴行を受けたなどの手紙があれば出向いて聞き取りをするといったことを行ったり、借金から逃げてホームレスになった人などのために無料法律相談で借金対策をアドバイスしたりといったことをしています。
 私はというと、弁護士1年目から消費者保護委員会に属し、消費者被害事件の弁護団に参加したり、弁護士会主催の被害者説明会の開催を手伝ったりといったことをしてり、月1回の委員会に出席し、部会長のもと、情報交換や現在は来年施行予定の消費者契約法、団体訴権の勉強会などに参加しています。

2 
 他の弁護士と話をしていると、いわゆる消費者事件は好きではない、よくやれるよねといった話しになることがあります。消費者被害と言っても、そもそも欲目を出したからひっかかっただけじゃないのか、鴨られるほうにも落ち度があるし、一概に「被害者」というには抵抗があるといったニュアンスです。
 もっとも、私から大橋を見た場合でも、土曜日の晩にホームレスの人の夜回りをやったりと、よくそこまで出来るものだと関心します。
 言えることは、こういった活動をしている弁護士はこれを収入に結びつけるなどということはこれっぽちも思っていないということです。
 なのに、なぜ、きみはいくのか、そんなにしてまで♪


 消費者事件に関わるのは、単純に、騙す方が許せないというただそれだけの思いだと思います。騙す方は、騙される方の知識のなさ、押しの弱さなどを巧妙に利用しています。知識がない方がおかしい、悪いという見方をされがちですが、「そもそも騙す方が悪い」というこの信念で動いていると思います。
 大阪市には消費者センターというものがあります。相談員の方々は、消費者からの電話相談などに無料で、熱心に、親身にのっています。発想は、なんとか助けられないだろうかというものです。その原動力はやはり、業者ー消費者という構図の中で業者がまずきちんとすべきという思いでしょう。もちろん一方で、消費者も情報を持ちましょうということもいえると思います。

4 
 最近、あった騙しの仕組みです。とはいえ、やはりまた布団モニター商法のダンシング事件などと同様、信販会社が金の出所として悪用されています。
  

  
     レンタル会社 30


         販売店 100

    
     
 消費者 10        信販会社
   
      5(×22)=110

 
 消費者は、騙し人Xから、販売店から絵画、宝飾類などを購入するように勧められます。仕組みは、こうです。販売店から物を買うかたちであるが、手元に商品はこない。これはそのまま、レンタル会社にレンタルする。レンタル会社は、あなたに月々の賃料というかたちでお金を振り込みます。
 商品は、70万円、80万円です。なに?!まとまったお金がなくても大丈夫。信販会社のこの契約書に署名・押印すれば大丈夫。あなたのもとに信販会社から月々の請求がありますが、レンタル会社からの賃料で賄える金額です。さ、この契約書とこの契約書とこの契約書に署名してください。

 つまり、こういうことです。こうして信販会社から、100のお金を引き出します。このお金は加盟店の販売店に入ります。で、この仕組みでは必ず、販売店からレンタル会社にお金が流れています。レンタル会社には仮に30のお金が入ります。レンタル会社はこのうちから、最初の100からすれば絞りかすのような10のお金を消費者に振込ます。
 そして、消費者に対しては、信販会社からの月々の請求は5しかないので、入る10から5をひいても、あなたの手元には5が残るという説明をするのです。

 しかし、ポイントはこの信販会社からの請求は、「月々5」というところです。5の裏には、信販会社のもうけを上乗せした22という分割回数、すなわち110という数字が控えているのです。

 ここで想像してみてください。レンタル会社からの振込みの10が消えたら、どうなるかを。

 仕組みとしては、当然、レンタル会社は早晩、行方をくらませることになります。
 現に、くらましています。株式会社を名乗っていましたが、そもそも会社として登記されていなかった可能性が高まっています。となると、ことは簡単、全て初めから仕組まれた騙しのカラクリです。

 金の動き、誰がもうかるのかをかんがえれば、カラクリは簡単です。

 
 ちなみに、ダンシング事件では、こんなレンタル会社なんてものは登場せず、もっと単純に、加盟店から消費者のもとへお金がいく仕組みでした。
 しかしこれについては、高等裁判所で、早晩、破綻必至の仕組みとされてます。
 じゃあ、レンタル会社をかませればよいのかという問題です。

 そしてさらに考える必要があるのが、なぜ消費者が、考えれば分かるこんなカモにされる話しについて、各社との契約書に署名しているのかということです。
 レンタル会社からの10と信販会社への支払い5の収支を考え、5で儲けられるなどと本気で思って契約しているのか否かということです。
 ダンシング事件の場合もそうでしたが、ここでまた巧妙にとにかく契約書に署名させるのです。
まずは人と人との繋がりが利用されます。
断れない状況にもっていきます。
そのうえで、損することはないという説明です。
「少なくとも損をさせられることはないだろう。」「害まではないだろ」、消費者は、自分で自分をこう思いこませて、最後のジャンプをしてしまうのです。

 こんな構図のもとでいわば食い物にされた消費者が信販会社に110を支払う義務があるのか。
 おかしいんじゃないの!?本当に儲けているのは誰なのか?黒幕は?
 
 儲けるなら正々堂々と。
 これが消費者問題に関しての、燃える闘魂の火種となっているのだと思います。

(おわり)

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April 25, 2006

消費者保護委員会~「お金」の知識~【松井】

Cimg1185 1 以前にも書いたような気がしますが、私は、大阪弁護士会の消費者保護委員会に属しています。弁護士1年目のとき、布団のモニター商法事件「ダンシング被害事件」が発生し、当然のように弁護団に入りました。
 ダンシング大阪事件は、大阪地方裁判所での和解で終結しました。その後、ダンシング姫路事件は大阪高等裁判所の全面勝訴判決を受け、クレジット会社からの上告受理申立は不受理となり、確定しました。
 その後消費者保護委員会が被害者説明会を開いたり、弁護団を結成したりする事件としては、エステ・デ・ミロードの破産事件、健康食品会社の八葉物流事件、不動産投資詐欺のJ&E事件などが起こり、最近では呉服の過量販売で問題となっていた愛染蔵の破産事件があります。

2 ところで、このようないわゆる消費者被害事件がなぜなくならないのか。イタチごっこです。いわゆる悪徳商法を発案・実行する会社はえてしてクレジット会社の加盟店契約を締結し、消費者にはクレジットを利用させて30万円以上の高額な商品を購入あるいはサービス提供の契約をさせています。
 会社にはクレジット会社から代金が一括で支払われ、消費者はクレジット会社に対して、手数料を上乗せした金額を5年、60回払いくらいで月1万円程度払い続けるのです。 会社が潰れたらサービス等の提供はなくなり、品物等も受け取れないけど、クレジット会社に対する負債だけがドカンと残るシステムです。クレジットの功罪でしょうか。

3 同じ消費者委員会に属する友人が言っていました。悪徳会社を規制するといっても後手後手にまわる。それよりも、騙されない賢い消費者教育に力を入れる方が効果的ではないか。小学生、中学生段階からお金の教育を意識したらいい。
 人生、「命の次に大事なのはお金」なんだという厳然たる事実を切実に教えたらいいんじゃないかと。
 確かに、一理あります。
 海外旅行に行ってみると実感します。命の次に大切なのはお金だ、ということを。お金さえあれば、命以外のものを奪われても何とかなります。しかしお金がないとどうしようもない。まさに身動き出来ません。

4 有名投資家バフェットさんとか言う人の、自宅での2歳の女の子とのふれあいの様子をテレビで放映していました。
 帰宅するなり、「今日はどの銀行に預けようか」と言いながら子どもを抱き上げ、子ども部屋に行きます。子ども部屋には、4つくらいの貯金箱があり、どこにいくらお金を入れるかということで子どもと協議していました。
 お金の英才教育を見た思いでした。「お金」を切実に意識する訓練を2歳から積んでいるのです。
 自分が受けた公立の義務教育を振り返って、「お金の教育」を受けたことはありません、確か。
 ただ、おそらく新聞記事で恐怖心だけ植え付けられていたようで、大学生になってクレジットカードを作った際、「怖いよ、怖いよ」と自分で言い聞かせ、口座にお金がある範囲内で使うだけの自制心はありました。 
 だけどそのような自制心すらないままに20歳になってしまう人がいかに多いことか。お金を増やす知恵の本がいっぱい本屋には並んでいますが(30歳で3億円貯めるだとか。)、まずはお金で損しない知恵を学ぶのが賢明だと思います。
 物の売り買いのときだけでなく、他人にお金を渡す際や、連帯保証人の契約書にサインする際に気を付けるべきこと、覚悟すべきことなど。
おわり
*写真は今年新しく出来た、奈良地方裁判所の外観。思ったほど綺麗な建築ではなかった。

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January 29, 2006

Service from the Heart【松井】

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 所属する大阪弁護士会にはいろいろな委員会というものがあります。私は、弁護士1年目から消費者保護委員会というものに所属しています。
 弁護士1年目の年、モニター商法の先駆けであった「ダンシング」という布団屋が倒産しました。これは、月々のクレジットの支払い額を超えるモニター料が支払われるからと知人などから懇請を受け、40万円!という布団購入のためクレジット契約を結んだけど、ダンシングが潰れたため、残るはクレジット会社への負債だけになったというものです。
 ダンシングのモニター商法は破産必至の商法でした。会社はクレジット会社からの一括立替金を手に入れるだけ手に入れて、潰れました。
 残された被害者のため、クレジット会社に対峙すべく、消費者委員会に所属する弁護士が中心となって弁護団が結成されました。私もこのダンシング被害弁護団の一員でした

 会社が潰れてクレジットの負債だけが残るという同じような状況は、確か翌年おこったエステ・デ・ミロードというエステ会社の破産の際も多数の顧客が同じ状況におかれ、大阪弁護士会で被害者説明会が開かれ、消費者委員会の一員として出席しました。このときは、クレジット会社には「抗弁の接続」というもので支払いをストップして対抗できますよというアドバイスが主でした。その後、エステ業界の信用維持のため、他の会社が特別にサービス提供を引き続いて行うということになりました。

 先日、我ながら何を思ったのか、百貨店内にある美容エステ店から「1月限定トリートメント」通常の半額!というダイレクトメールを見て、気分転換に一度、行ってみようと初めて顔のエステとやらを受けてみました。

 最初、黒幕で覆ったボックスの中の鏡を見るように言われ、のぞき込んでみると、青い光を浴びて、顔面一面、黒いシミが広がり、鼻筋にはポツポツと白く光る点々が並んでいました。
 これは顔の肌の奥を見る機械だそうで、黒いシミは放っておくとやがて顔の表面にそのまま浮き出てくるということでした。白い光は皮脂が詰まっているところだということでした。
 ふーん、と思って、いざ施術室へ。

 ベッドに横たわり、マッサージが始まると、エステシャンの20代の若い女の子は、こうい言いました。
「先ほど、皮脂が詰まっているは見ましたよね。今日のトリートメントには皮脂の除去は含まれていないんです。でもこれを除去しないと、今日のクリームなどが肌の奥に届かないんですね。皮脂を除去するには2500円追加になるんですけど、皮脂を除去されますか。」

 横たわる前に言うべきでしょ!黒い箱をのぞき込んだときに言うべきことを、横たわり、すっかりその気になっている状況で追加費用がかかるサービスを提案する、この三流セールスぶり。呆れてしまいました。ここで気が弱い人は、ついつい、
「あ、じゃあ、皮脂の除去もお願いします。」と言ってしまうんでしょう。

「今日は要りません」とすかさず言いました。

 その後約1時間、エステシャンはとりとめもない話を話しかけてくるので、適当に話を合わ、施術は終了しました。

 着替えて、支払いを終えてさっさと帰ろうとすると、支払いの前に肌の説明をするというので、何を話すのかと聞いてみることにし、テーブルに着きました。

 彼女は白い紙を前にして、肌の正常な活動パターンとトラブルを抱えたパターンといことで図を描き始めました。
 結論としては、皮脂など詰まった老廃物を除去し、毛細血管を活性化させるのがきれいなお肌を得るには必要ということでした。

 そして、私の肌の現状は、今日はイオン導入、マッサージ、クリーム等の手入れを受けているので活性化しているが、皮脂除去が出来ていない、活性化は単発では意味がない、肌はこのままでは右肩下がりだという折れ線グラフを描いての説明になりはじめました。

 これがクレジットの多重債務を抱える人がよく言う「断れなかった」「無理に勧められた」「脅された」という、強迫セールストークかと、呆れました。

 要は、やはり単発のダイレクトメール、チラシなどで誘い込み、来店したその日のうちに次の継続的な10万円以上の契約を結ばせる、あるいは高額の化粧品を買わせるという、三流商法です。

 私がこのエステ店の経営者なら従業員には、決して、このようなセールストークをするなと指導しましす。
 お肌の構造、お客様の現状は、丁寧に説明したうえで、なぜこのような状況になっているのか、お金がかからずに家ではどのような手入れをすればいいのかをアドバイスするように言います。
 お客さんのことを考えれば、関心があるのは普段、家でどうすればよかったのか、何が悪かったのかということです。

 ここの説明をすっとばして、とにかくこの店に来い、来たら大丈夫なんだよ!という態度では、店の誠意は全く感じません。
 言い過ぎかもしれないけど、構造欠陥のマンションでも、安く手に入ればいいだろ、売ってやるよ、売ってしまえば同じだよという企業姿勢と同じです。

 本当に客の肌のことを考えているのではないくせに、まるで心配しているかのように接するその底の浅さが三流商法だと驚いたのです。
 
 「今日は、どんなものかと一回来てみただけなので」と言って、さっさと帰りました。 最後、エステシャンの顔色は明らかに暗く変わっていました。

 
 以前、大先輩の弁護士が言っていました。仕事をするとき何を考えるか。「いかに依頼者の方がお金を使わずに済むのかを考える。」と言ったことを口にしていました。
 
 この日の晩、航空会社に勤めていた方からたまたま聞いた言葉。
 
 「Service from the Heart」

 フライト前の会議のとき、会社の上司が毎回毎回、口をすっぱくして言っていた言葉だそうです。サービスにマニュアルはない、お客様にどのように接すればいいのかは、それは気持ちから自ずと出てくるということだそうです。

 レストラン、ホテルなどでも一流といわれるところは確かに値段は高いです。しかし、その従業員は皆、優れたコミュニケーション能力を持っています。単に、食事をする、泊まるという最低限のサービス以外の心地よさを与えてくれます。
 それはひとえに、心からのサービスによる言動が与えてくれる満足感なのだろうと思います。
 一流と三流の違いを知ることは大変勉強になりました。
 
 にしても、百貨店幻想か、まさか百貨店内の店でこんな三流サービスを受けるとは驚きました!このエステ店は百貨店内に店を開くことで店舗展開しているそうです・・・。まぁ、この店舗展開も消費者の百貨店幻想を利用しているのだとは思いますが、従業員教育が必要だし、まあ、そのうち淘汰されていくでしょう。

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