35 家族関係

May 08, 2011

子育てに父はどう関わるか【大橋】

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 大橋、連休中にできるはずだった仕事にこれから追われる予定ですが、その前に。
(仕事が溜まっているときには片付けが進む、ということがよくありますが、ブログ書きも助走運動の一つってことで・・)

 「人権のひろば」という冊子があります。法務局の人権擁護委員に配布されるもので、私も弁護士会推薦で人権擁護委員になっているものですから、定期的に送られてきます。

 この内容が、なかなかセンスがよいのです。人権擁護委員制度の当否はさておき(新しく制定しようとしている人権擁護法案は、法務省が人権擁護活動の担当機関でよいのか否か等をめぐり、なかなか成立に至りません)、関わっている人たちが鋭く優しい人権のセンスを持って活動されていることを感じます。

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 さて、3月号として届いたものの中に、「地域から進める男女共同参画(上)」という講演録の要約が掲載されていました。中央大学の政治学の教授をされている、広岡守穂さんという男性の講演です。

 調べてみると1951年生まれで、いわゆる「全共闘世代」の方です。

 講演録なので読みやすいのですが、そればかりでなく、ご自身の20代から30代かかりの夫婦関係について、赤裸々に語られているのがたいへん好感を持てました。

 中学の同級生の方と学生結婚をされて、親に反対されてアルバイト生活をしながら学者になるべく頑張られます。一方で、10年で5人の子どもを生み育てる生活となります。

 広岡さんは、子育てを大変だと見守りつつ、大学の仕事があるので夜中の授乳・夜泣きにはつきあえず狸寝入り。休日に家族揃って出かけることで「妻の気晴らしにもなるかな」と思っていたそうです。

 しかし、3人目の子を妊娠したとき、広岡さんが「子どもが2人だといろんなところへ行けて楽しかったね」と話しかけたのに妻が答えないのでびっくり。妻は、実はしんどい思いをしていたと言います。「どうすればよかったの」「半日、いや一時間でもいいから、あなたが子どもを預かってくれて、私を一人にしてほしかった」

 「どうして言わなかったの。そんなのお安い御用なのに」「何回も言ってた。だけど、あなたは一回も耳を傾けてくれなかった」言った言わないの押し問答の末、妻は「分かるように言ってないのかもしれない」、義母に子育ての失敗を咎められたくないとの思いから、はっきり言っていなかったかもしれない、と言ったそうです。

 広岡さんのここからの結論は、「母と子は一緒にいてこそハッピーだ」という思い込みで、妻の気持ちをきちんと傾聴できていなかったという反省になります。
 それから、女性に対する「アサーティブネス」の勉強の勧めです。アサーティブネスとは、自分のことをきちんと相手に伝える、という意味です。

 講演はこの後、妻が社会復帰のために子連れで経理学校へ行き、次には司法試験の勉強を始めるがいずれも「三日坊主」であったこと、次に語学をラジオ講座で始めると言うので「語学はたくさんあるから三日坊主でも1カ月もつよ」と軽口を叩いたところ、妻が滝のような涙を流して口を利かなくなった、結婚後10年を経て初めて猛反省した、というように進みます。

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 まだ上巻ですから下巻が楽しみですが、この講演を聴いて女性で泣き出す人がたくさんいる、というのはもっともだと思いました。
 男性からこれだけの反省の弁を聞けると、「わかってくれる人がいるんだ」という思いが突き上げるだろうと。

 私は出産育児の経験がないので、他の人のを脇からごく短時間見せてもらうだけ、あるいは依頼者から聞くだけなのですが、それでも「子育ては大変」だと思います。子どもがかわいい、という気持ちが湧いてこなければ、到底20年も続けられないと思います。

 一緒になって子どもをつくった父親が、子育てに関しては無責任にも脇に回ってしまう。この孤立感が、母親の気持ちを冷たく固くすると思うのです。そこから「子ども一途」→「お受験ママ」となったり、「虐待母」になったり、夫婦の危機を招いたりと、不幸な成り行きをたどる基になると思われます。

 一方の父親は、母乳が出ないという決定的な差をはじめとして、母子関係に入り込めない何かを感じてしまうことが多いようです。それで、「やむなく」脇に回り、せいぜい外出で家庭サービスを、ということになるのですが、これが広岡ファミリーのようにズレを生んだりします。
 私の周りにいる子育て世代の男性弁護士と話をしていると、「母子関係に入り込めなくなっている」ことが窺われます。しっかり育児分担している男性弁護士もいますが、その人たちは晩は6時か7時には帰宅しており、育児期間については、弁護士族の一般的な活動形態から外れざるを得ません。
 本当は弁護士族の活動形態の方が「ワークライフバランス」が保てていなくて、駄目なんですけれども。(私もですが)

 こういう講演は、ぜひ、男性に聞いてほしいです。
 家族に決定的な危機が来る前に・・


 

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