24 講演・講師・発表

October 23, 2009

商売をするのなら〜法律に無関心ではいられない〜【松井】

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 先日、大阪弁護士会館の方で、司法修習生の方向けの「消費者契約法」についての研修講義を担当してきました。
 この手のことがらに関する私の講師としての出来はともかくとして、2時間の研修のための準備を改めてしなおしていたときに、しみじみと思ったことを自分のメモがてら記しておきます。


 商売をするのであるなら、その売り物に対する思いと同時に、経営者である以上はやはり法律に無関心ではいられない、無関心では駄目だということです。もちろん、簿記・会計(特に、管理会計)の知識も必要だと思います。自分にその知識がないのであれば、詳しい人を雇うか、税理士との顧問契約で補い、あるいは弁護士との顧問契約で補うべきだなと思った次第。範囲が広いです、法律。

 施行が平成13年4月1日の「消費者契約法」という法律があります。これは文字通り、消費者保護を目的とした法律であって、一定の場合、民法で定められた詐欺取消し等の他に、契約の取消しや条項の無効を定めています。
 最近で話題になったのは、建物の賃貸借契約における「更新料」特約の無効判決です。大阪高等裁判所で判決されたものです。

 ただ、実は、消費者の方からの相談において、使うことが多いのは、この消費者契約法ではなくて、特定商取引法と割賦販売法です。
 特定商取引法の場合には、クーリングオフや、契約を途中解約したときの返金についての定めがあります。
 ここで有名なのは、平成20年4月の英会話のNOVAの最高裁判決です。途中解約した場合の精算金の考え方について、NOVAの主張は認められませんでした。3本500円バナナを買ったところ、2本は要らないと返したときに、じゃあ500円÷3本×2本=333円を返してもらえるかというと、NOVAの計算方式は、本当は1本300円のものを3本500円特価で売ったのだから、1本食べたなら300円で、200円しか返さないというものでした。
 このような規定は特定商取引法の清算条項に反するとして無効だとされ、333円返せとされました。
 結局、これがきっかけの一つとものなり、途中解約が相次ぎ、資金繰りに窮して倒産にいたりました。
 そのほかには、割賦販売法です。例えば、NOVAへのお金をクレジットカードを利用して支払っていた場合などです。NOVAに問題があった場合、途中解約をする、じゃあ残るクレジット利用による40万円の債務はどうなるのか?
 有名だったのは30条の4に規定された、抗弁の接続というものです。残る支払いの請求は拒むことができる場合があることを定めています。


 特定商取引法に定められた一定の販売方法、訪問販売、継続的役務の提供などをしている場合、自分の商売が特商法の規制を受けるのかどうかのチェックは必須です。
 また、信販会社の加盟店であって、お客さんがクレジットカードを使う場合、あるいは個品割賦販売を利用している場合も、割販法の知識は不可欠です。
 ところが、たまに驚くことに、自身が特定商取引法の規制を受ける商売を行いながら、社長自身がそのことの自覚がない場合があるのです。
 クーリングオフを意味することを主張されながら、なんでこんな主張を受けるのか?と不思議がっている場合があります。
 いやいや、その商売はこの法律の規制があって、この条項をお客さんは主張しているんですよということになります。

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 今後、さらに大事なのは、この12月1日から、新たに改正された特定商取引法と割賦販売法が施行されるということです。
 消費者契約法は従前の特定商取引法や割賦販売法では不都合があった部分をフォローすべく新たに制定された経緯があるのですが、それでもやはり不都合があったということです。
 不都合。
 消費者を食い物にする業者です。本当にこの手の業者の手にかかれば一消費者なんて赤子の手をひねるようなものです。
 そこで、昨年、特定商取引法と割賦販売法が改正され、めちゃくちゃ強化されました。 特定商取引法においては、指定商品制というものが原則撤廃されました。以前は、商品について指定されたものだけが対象だったのです。
 しかし業者は、ここの間隙をついて、みそだとかを売ったりしていました。いたちごっこでした。
 また、割賦販売法においては、抗弁の対抗として、今後の支払いを拒むだけではなく、場合によっては、すでに信販会社に支払った金員についても取り戻せるということを明記しました。
 また信販会社において加盟店の管理についての義務も定めました。売り方等について苦情の多い加盟店を放置しておいて、「知らなかった」と言い逃れすることは出来なくなりました。
 
 また別の項で、この特定商取引法と割賦販売法の改正についてはまとめて記しておきたいと思います。


 経営者は大変です。まっとうな商売でがんばって欲しいと思います。

(おわり)

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March 04, 2009

研修の講師〜消費者契約法ってマイナーかしら〜【松井】

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 先日、所属する大阪弁護士会消費者保護委員会の関係で、登録1年目の弁護士向けの研修の講師を担当しました。
 2時間で消費者契約法について説明するという趣旨のものだったのですが、まったく冷や汗ものになってしまいました。雨の中、わざわざ参加していただいた皆様、もっとよいものが提供できればよかったのですが、ごめんなさい。


 Apple社のプレゼンソフト、Keynote’09を初めて使いました。これがかなり楽しく、紙芝居を作成するかのようでした。これで当日、余裕のある解説ができると思いきや。
 会場でのデュアルディスプレイの設定が思うようにいかず、開始10分前の出来事で目の前が一瞬まっくらになりました。念のためにと用意していた、発表者ノートのプリントアウトシート。これで何とかことなきを得ました。
 一般の方向けに、分かりやすく講演や発表をするという機会は何度かあるのですが、同業者が聴衆というのは初めてで、しかも場所は弁護士会館。さすがにかなり緊張しました。
 無味乾燥に、要件、効果、裁判例の紹介、解説だけではなく、「おおっ!そうだったのか!」と思えるような事柄を二つや三つはお土産にもって帰ってもらえるように、また興味深く経験に即した事柄を散りばめようと思っていたのですが、いかんせん緊張。話そうと思いながら端折った事柄も多く。笑いをとるなんてことは夢のまた夢。


 ただ、いろいろな意味で良い勉強にはなりました。万が一にもここで自己満足に陥ると今後の発展がないので、全く駄目だったと考え、次に生かしたいと思います。ああすればよかった、こうすればよかったということが後からいろいろと出てきます。
 事前にいろいろとアドバイスをいただきました、S樣、K様、リハーサルにつきあっていただいたA様、ありがとうございました。

 「消費者契約法」。
 皆様、ご存知ですか?


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 一般向けに改訂したKeynoteのスライドを引っさげて、90分ほどで「0から分かる消費者契約法」というタイトルで講演します。ぜひお声を(笑)。
 尋問と同じで、やはり何事も場数を踏まないと!
 研修義務化の単位取得の関係で、この年度末、知り合いのベテランの弁護士が単位取得のために出席されていて、終わったとき、ニコニコと「分かりやすかったよ」と声をかけていただいたのが救いでした。ありがとうございました、K先生。
(おわり)

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December 06, 2008

11月のレポートその2 「ハラスメント連続講座」第3回の講演【大橋】

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 11月29日(土)午後、「働く女性の人権センター いこ☆る」主催の「ハラスメントに負けないために 連続講座」の締めの第3回がありました。

 締めという重責だったのですが、「日本にもハラスメント規制法を!~ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ~」というタイトルで、「実際に日本で法的手段をとるとしたらどうなるか、どういう難しさがあるか」「EU、特にフランスの取組みによる法制化でどうたたかいやすくなったのか」という内容を話しました。

 主には、例えば労災認定をとる場合に問題になることとか、裁判や労働審判を起こす場合の立証の問題とか、慰謝料金額とかいったお話をしました。
 フランスの法律については、実際のところ、自分で原典をあたったわけでもありませんので、学者の方の論文をまとめて報告するという程度だったのです。
 ただ、法制化された内容は、「挙証責任の転換」や「労働組合訴権」、「告発したり証言した労働者の保護規定」「離職の無効による復職ないし損害賠償の規定」「いじめに対する刑事罰」など、示唆に富むものです。

 どのように運用されているのかということについては、またどなたかによりレポートが出されるのを待たねばなりません。
 ちなみに、本年6月の「国際職場のいじめ学会」では、マリー=フランス・イルゴイエンヌさんの講演で、フランスでは法制化の次の段階として、定義へのあてはめ問題、つまり「どこからがいじめなのか」のライン引きに論争点が移り、肝心の職場環境の整備の問題に焦点が当たっていないという報告もありました。
 もちろん、日本より1段階先に行っているのは間違いなく、また、それだけ「いじめ」問題が根深いものであることを示していると思います。

 私の後に、ユニオンおおさかの小田みどりさんから、労働組合として取り組んでいる具体的ケースについてのお話もされました。

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 「職場のいじめ」問題は、現に「いじめを受けている!」と思ったときに、まだストレスで精神が疲れ切る前の段階で適切に労働組合へ相談ができて、職場環境の改善に進んでいけることが何より大事だと思います。

 弁護士のところに相談に来られるのは、既に「うつ」の診断が出て休職中であったり、休職が長引いて退職または解雇されてしまったりしてからのことが多いので、「次のためにどうするか」という相談にならざるをえなかったりします。

 職場を離れてからだと、ハラスメントの証拠を確保することから難しくなります。

 労働組合がまず身近になってほしいと思いますし、弁護士への相談もなるべく気軽にしていただきたいと思います。
 

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11月のレポートその1 「更生保護と弁護士会の役割」シンポジウム【大橋】

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 このごろ貫禄出てますか?
 トレンチを着こなそうと頑張っている大橋です。

 12月を迎えて、11月に取り組んだ企画2件についてご報告したいと思います。
 まず「その1」。

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 11月28日(金)、滋賀県大津市で、近畿弁護士会連合会の人権擁護大会が開かれました。
 その第1分科会で、「罪を犯した人の更生保護と弁護士会の役割」と題する公開のシンポジウムがありました。

 「更生保護」とは誰でも知っている言葉ではないと思いますが、罪を犯して刑事手続(警察・検察による捜査、刑事裁判)を終えた後のフォローのことを指します。

 公の機関としては、法務省の一部署である「保護観察所」が担っていますし、地域には「保護司」という方がいらっしゃいます。また、「更生保護女性会」という団体に入っていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。

 少年時代に保護観察処分を受けて保護司さんのお世話になった方も、子どもさんが現にお世話になっている方もいらっしゃるでしょう。

 2007年にこれまでの法律の全面改正で「更生保護法」が施行されました。これまでの保護観察では「監視」が弱くて再犯を許してしまっているという批判を受けたものです。
 
 果たして、更生保護の現場ではどのような苦労があるのか? 
 また、「更生保護法」はどう評価すべきか?
 そして、弁護士また弁護士会は更生保護とどのように関わるべきか?

 こういった問題意識の下、私たちは実行委員会を組み、基調報告書を作成しました。
 近畿にある更生保護施設(帰住先のない人を対象とした施設)もほぼ全部訪問しました。

 (ちなみに写真の「更生保護法人泉州寮」は、大阪府内にある、少年のための専門施設です。)

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 シンポジウムでは、大津保護観察所長・吉田研一郎さん、更生保護施設和衷会の施設長・加藤吉宏さん、NPO法人神戸の冬を支える会事務局長・青木しげゆきさん、九州大学大学院法学研究院教授(刑事処遇論)・土井政和さん、そして弁護士であり保護司でもある野口善国さんにパネリストとして参加していただきました。

 また、会場特別報告として、「刑余者支援おおさかネットワーク準備会」と、「京都ダルク」から発言をいただきました。

 京都弁護士会の石側亮太さんと私がコーディネーターをしました。欲張ってテーマを盛り沢山にしたので、時間内にまとめるのが大変でした。終ってホッとしました。

 弁護士は、刑事弁護人の仕事をしますから、更生保護の対象となる人によく関わるのですが、刑事弁護が終了した後にどういったアドバイスをしてあげられるかというと、ほとんど知識がないのです。
 今回のシンポジウムでは、法務省が厚生労働省とともに取り組んでいる「高齢者・障がい者を福祉へつなぐ取組み」「就労支援の取組み」のこと、支援団体が取り組んでいる「居宅を確保し生活保護へつなぐ取組み」のことを広報する機会にもなったと思います。

 また、大阪弁護士会の人権擁護委員会と刑事弁護委員会有志による「押しかけ法律相談」から始まった、更生保護施設和衷会での定例法律相談の取組みも紹介しました。
 借金を負ったまま刑務所へ行き、出てきても「取立に遭うから住民票を移せない、まともな職に就けない」と悲観している人がたくさんいます。
 弁護士の取組みは、少しずつですが始まっています。まずは近畿の各弁護士会が取組みを始めることを決議しましたので、次第に広がっていくと思います。

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November 04, 2008

10月のレポートその2 ハラスメント連続講座始まる【大橋】

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 私が撮っていたケーキの写真はこれです。

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 10月25日(土)から、「いこ☆る」主催で「ハラスメントに負けないために」と題した連続講座が始まりました。

 3回シリーズで、第1回は「これってパワー・ハラスメント?~おかしい!と思う実感を大切に~」というテーマで、企業へのセクハラ・パワハラ研修を手がける「アトリエエム」の三木啓子さんが講師でした。
 研修ビデオを作っておられるので、一部を上映したり、グループワークを入れたりして、さすが工夫された講義内容でした。

 来られている方は、被害当事者も多そうでしたし、具体的な事案で困っている労働組合の方もおられたようです。

 あと、2回目が11月15日(土)に「わたしは悪くない!~ハラスメントへの対処法を考えよう~」というテーマで、フェミニストカウンセラーの周藤由美子さん。

 最後の3回目が11月29日(土)で、「日本にもハラスメント規制法を!~ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ~」というテーマで私が講師です。

 いずれも13時半から16時半ころまで、場所は天満橋のドーンセンターです。

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 この頃、私の以前のブログに「モラル・ハラスメント」をテーマとしたものがあるため、そこから相談の予約に来られる方が増えてきました。

 モラル・ハラスメントは、家庭内の精神的暴力の問題としても使われますし、労働関係でのいわゆる「いじめ」問題を意味するものとしても使われます。
 「職場のモラル・ハラスメントをなくす会」のHPもぜひお訪ねください。定期的な電話相談の体制もとっています。

 会の方に話を伺うと、「電話の多くは『私が受けているのはモラルハラスメントでしょうか?』という質問」だそうです。
 HP上で、「イエス・ノー」で答えていくとモラルハラスメントかどうかが判断できるようなチャートを作ったらどうだろうという話も、出てきていました。

 まだ公式の定義がない、モラルハラスメントとかパワーハラスメントとか言われるものには、被害者も振り回されますが、一方、「加害者」とされた人も振り回されているようです。

 労働組合への相談には、「パワハラ上司」であったことを理由に解雇された人の相談が来ているそうです。
 ご本人にはそんな覚えがなく、嵌められてしまったように思えて被害意識を持ってしまいます。

 それも、パワハラに明確な定義がないことに原因があると言えます。
 そして、ハラスメントの本質は人間の尊厳の侵害、プライドを傷つけられるところにあるのではないかと考えますが、一方で労働現場は総体として「人間の尊厳」など考える余裕がないほどギスギスしている実態があります。これでは「人間の尊厳を傷つけてはいけない」という規範自体が成立し得ません。

 日本においてあるべきハラスメント防止法とはどんなものか、研究していきたいと思います。

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