23 雇用・労働・職場・労使関係

December 01, 2013

女税連・大阪ブロックで労働問題大づかみ学習会【大橋】

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 早いもので、もう12月。師走を迎えました。

 せめて秋のうちにブログ更新をしたかったものだと思いながら、1週間前の京都大学北部構内のイチョウ並木を載せてみました。


 今日は、女税連(全国女性税理士連盟)西日本支部の大阪ブロック学習会にお招きいただき、「労働問題大づかみ」と題する2時間弱のお話をさせていただきました。

 税理士さんは企業の税務に深く携わり、その機会に経営者から労務相談を受けることもあれば、経理担当従業員等から労働者側の相談を受けることもあるそうです。

 そのときに何も知らないわけにはいかないので・・という問題意識からのお招きでした。

 労働法制は、弁護士の中でも専門性が要求されている分野ですので、これに精通することはなかなか難しいです。
 ただ、弁護士が税務について全く念頭にないまま業務を処理するとあとで顧客に莫大な出費を強いることがあるように、税理士さんも労働相談を受けたときに「あとでトラブルがあるかもしれない」と念頭に置くか置かないかで、処理の方向性が違ってきてしまいます。

 今後、女税連の皆さまと「転ばぬ先の杖」のお付き合いができましたら、嬉しいです。

 女性だけの気取らない忘年会にも同席させていただき、楽しい時間を過ごさせていただきました☆


June 02, 2013

6月27日、大阪市企業人権推進協議会でハラスメントの講演【大橋】


 大阪商工会議所の会員の方には配付されていますが、大阪市内の事業所・団体の人事・労務担当者及び管理職の方々を対象とした大阪市の委託事業「労務問題関連研修会」が開かれます。

 大阪弁護士会へ講師依頼があり、行かせていただくことになりました。
 参加費は無料です。


 一緒に講演されるのが精神科のお医者さんで、「「メンタルヘルスマネージメント」のツボ」を聞けるそうですから、私も楽しみです。

 私の方は、弁護士で何が話せるかと言えば、実際にトラブルになったときにどういう事態になるかをリアルに語ることでしょうから、「労働者にも使用者にも、ハラスメントの存在する職場は百害あって一利無し!」ということを参加者に訴えたいと思っています。

 実際のところ、こういう講演に来られる方は既に問題意識をお持ちですから、「来ようとしない事業者」こそが重要なターゲットなのですけど。

「13.6.27大阪市企業人権推進協議会労務問題関連研修会チラシ.pdf」をダウンロード

April 01, 2012

公務員労働者の方々へ 仕事に誇りを持って働き続けてください【大橋】

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 大阪の国立国際美術館で開催中の「草間彌生展」。4月8日までということで、休日はかなり混み合っているようです。私は自営業の強みで平日午前に行ってきました。

 幼少の頃から視界に点々が広がる幻視を見、幸せとは言えない家庭環境で育ち、前衛芸術の道を突っ走って、現在では精神科病院からアトリエに通って作品を描き続けるエネルギーは、生きる存在への疑問、死への誘惑と恐怖、そして、それらを乗り越えて永遠にありたいという湧き上がる生命力から発せられていると感じました。

 生命力強く、自らの存在を芸術家という存在に高めてきた草間彌生という人に対して、「この人はこのように自分を肯定し生きてこられて、本当によかった」と思いました。
 精神障害がマイナスではない、という好例です。それがこのように社会に発信できれば。

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 さて、私の所属する「大阪労働者弁護団」では、大阪市政・大阪府政に対して相次いで抗議声明を発しています。

 それというのも、ご存じのとおり、「大阪市職員アンケート問題」「教育基本条例・職員基本条例案」「君が代起立斉唱職務命令」と、大阪市・大阪府職員の組合活動をつぶし、かつ、人権を侵害して顧みない政策が次々と出されているからです。(↑HPにアップしています)

 私個人が公務員労働者の方々の前で直接お話しする機会もないので、この場で、力付けのメッセージをお送りします。

 私も5年間だけですが、地方公務員の仕事をしました。
 京都府宇治市という小自治体で、法規と公報作成と選挙管理委員会事務局の仕事をしましたので、市役所の仕事のたいていの部門の人と接点がありました。

 地方公務員の生活は、給料は民間の常勤職と比べて決して高くないけれども、確かに安定していて、そして単調です。
 法律に従って、あるいは議会で成立した条例に従って、正確に、公平に、仕事をする。
 ドンとボーナスが上がることもなく、地域からおかしな目で見られることのないよう矜持をもって、淡々と公務に従事する毎日。
 そういう生活です。

 民間企業の従業員の働きぶりの成果は、商品やサービスの売上に反映して、人気が出なければ会社も潰れるし、よいものであれば業績が上がって給料も上がるでしょう。
 それに比べて公務は、人気・不人気の尺度では測れません。なければならない仕事で、正確にこなされなければならず、質が悪ければ住民に多大な迷惑・損失を及ぼします。
 
 公務員の仕事には、繁忙期と閑散期のある職場もあり、「1年の半分は暇」というところも確かにありました。
 しかし暇なのは働く者にとっては苦痛なことであり、その繁閑は業務の組み合わせや応援で改善できるところもあったと思います。


 今、公務員は給料が高すぎると言われたり、いかにも労働密度が薄いように言われたりして、組合活動も悪し様に言われ、一人一人の公務員がバラバラにされようとしています。それどころか、相互監視の息苦しい雰囲気さえ作り上げられようとしています。

 そんな職場で、よい仕事ができるわけがありません。
 
 公務は、大事な仕事です。ぜひ誇りをもって働き続けてください。
 職場のチームワークをかき乱されないように、しっかり働いてください。
 
 そして、公務員労働者の働く環境の悪化を他人ごとと思えず心配している民間労働者や私たちに、その姿をアピールしてください。

April 09, 2011

大阪労災病院(堺)で、労働者向け無料カウンセリング【大橋】

 続いて大橋です。

 耳寄りな情報を得ましたので、これも書いておきたいと思いました。

 大阪市営地下鉄御堂筋線、新金岡駅の近くに、大阪労災病院があります。

 そこで、「勤労者 心の相談室」という、ストレスに悩む労働者向けの無料のカウンセリング相談があるそうです。(サイトには「心の電話相談」とありますが、面談もあるようです。)

 無料なのは、貴重ですね。
 平日だけなのですが、晩8時までなのも利用しやすそうです。

http://www.orh.go.jp/soudan/index.html


勤労者 心の相談室

近年、労働者の受けるストレスは増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が約6割に上っています。

大阪労災病院(勤労者予防医療センター)では、労働者の皆様にこのような悩みを取り除いていただくために専門のカウンセラーを配置し、ご相談をお受けするための「心の電話相談」を開設しております。

ご相談は、無料となっております。ご相談内容は一切他へ漏れることがないよう万全を期しますので、「心の悩み」をお持ちの方はぜひご利用ください。

このような症状が現れたら、ご相談ください。

気分が沈んで意欲がわかない。
些細なことでイライラして怒りやすくなったり、緊張しやすくなる。
酒の量が増え、酔ったときにくどくなる。
食べ過ぎることが多くなったり刺激物が欲しくなる。
食欲が低下する。
仕事の能率が悪くなる。
職場で人を避けるようになったり、挨拶ができなくなる。


心の相談室 お問い合わせ
電話 072-251-9556
相談時間 14:00~20:00
相談日 月曜日~金曜日(祝祭日を除く)

January 01, 2011

謹賀新年 「スウェーデンとオランダに学ぶ」のご紹介【大橋】

みなさま、新年明けましておめでとうございます。

 昨年末も中之島は「ルネサンス」なる行事で賑やかでしたが、

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 今年の元旦は、仕事の関係で大阪天満宮の近くにおりました。

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 年明けの午前3時ころに通ったときにも人がそぞろ歩いていて、商店街も灯りがともり、さすがかき入れ時!という感じがしました。
 これは昼過ぎです。着飾って来る人はあまりいませんでした(時間帯のせいでしょうか)が、この後地下鉄が到着したのか、人がどんどん列をなしていました。
 近所は、駐車する場所を求めてうろうろする車でいっぱいです。

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 さて、金弁護士が著作の宣伝をしていますので、私のも、宣伝させてください。

 一昨年(2009年)秋にスウェーデンとオランダを訪問した報告をまとめた本を、ようやく出版することができました。

 「スウェーデンとオランダに学ぶ ~人を大切にする社会システム~ 労働・平等・社会保障」というタイトルです。(アットワークス社・1800円+税)

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 佐藤吉宗さんは、ちょうど昨年11月に日本経済新聞出版社からも「スウェーデン・パラドックス」という著作を出されました。
 その本の紹介は
高福祉のイメージばかりが先行するスウェーデン。しかしその高福祉は、激しい競争による高成長で維持されているのだ! 赤字財政と低成長に苦しむ日本への改革のヒントに満ちたスウェーデンの経済システムを解明。 」(Amazonより)
というものなのですが、スウェーデンの高成長の基本は「労働者の賃金を下げないこと」です。ではどこを削るのかと言えば、不採算部門の産業を救済せず、そこから労働者を引き揚げて研修し、採算性の高い部門へ就職させることで成り立っています。

 佐藤さんの視点は、経済に出発して、広く社会システムや人々の生活にまで温かく及んでいます。
 私たちが出した本には佐藤さんの講演録を載せているのですが、読みやすいですからぜひご覧いただきたいと思います。

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 ・・というわけで、うちの事務所は今、本屋と化しています。どうぞお手にとってご覧くださいね。
 

October 18, 2010

季刊労働法 特集「パワハラの現実的解決に向けて」【大橋】

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 先週、日弁連人権擁護大会が岩手であり、そのとき立ち寄った「遠野」の旧家です。

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 「季刊労働法」の2010年秋号が、「パワハラの現実的解決に向けて」という特集を組んでいます。

 パワハラは激増していると言われており、これはどんな要因によるのか、どんな法的解決がなされるのか、予防としては何ができるのか。そうした問題意識です。

 弁護士は、パワハラが起こってから(往々にしてうつで休職したり退職したりしてから)ご相談を受けることになり、解決の難しさを痛感します。

 できればパワハラが起こらないような職場であってほしい。そういう考えから、予防策には関心があります。

 「職場におけるパワー・ハラスメントとメンタルケア」(武藤清栄)論文の中に、「職場でなぜパワー・ハラスメントが起こるのか」という行があり、「心理社会的要因」「職場の要因」「加害者側の要因」「被害者側の要因(「もちろん、被害者側にどんな要因があろうともハラスメントを正当化してはならない」とのコメント付き)」に続き、「コミュニケーション要因」が挙げられています。

 「コミュニケーション障害」は無意識に行われるので、自分自身のコミュニケーションのクセ(伝え方)を知ることが必要である、としています。

 ①高Expressed Emotion・叱咤激励
  例:「どうなってんだ!辞めちまえ!」「お前は全くだめな奴だなあ。ったくもう!邪魔なんだよ!」

 ②ダブルバインド(二重拘束、矛盾することを同時に行う)
  例:「私はね、君のことを責めるつもりはないんだよ。だけど、私に一言もないなんて、君は最低だねえ!」
    「好きなようにやればいいんだよ。早くやってよ、任せるから」と言っておきながら「何やっているんだ!勘弁してくれよ!」と板挟みにする。

 ③すりかえ
  例:部下が「先週お渡しした私の企画案を読んでいただけたでしょうか?」と聞くと、読んでいないのに気づいて「君ねえ、この前の出張の報告書、まだだよね。」とすりかえる。

 ④共依存的コミュニケーション
  例:「君たちは私がいないと何もできないじゃないか。しかし君たちがしっかりしてくれないことには、この仕事回らないんだよ!」

 なるほど、いずれも聞く方はストレスが溜まりそうな対応です。
 そして、これは、「コミュニケーションのクセ」であって「無意識に行われている」というのです。
 しかし、まず部下は、「無意識だ」と思えるかどうか?いや、上司に悪意を感じてしまうでしょう。
 そして、上司であるが故に、「その言い方はしんどいから止めてほしい」と言えない。職場で権力を持っている上司であるからこそ、ただの「コミュニケーションの問題」に留まらず、「パワーハラスメント」として成立することになります。

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 イギリス・カーディフで行われた「国際職場のいじめ学会」で、2年前の学会以来、注目度を高めていたのが「バイ・スタンダー(傍観者)」の研究です。

 パワハラは職場の中で起こるものであり、必ずしもセクハラほど密室で2人だけの空間で起こるものではありません。職場の同僚が見ている中で起こります。

 イヤな上司、クセのある上司は別に珍しくありません。それに対して、部下が複数でその「イヤな思い」を共感していれば、パワハラを受ける部下もとりあえず孤立感を持たなくてすみます。
 そしてそのうち、誰かの知恵で、上司に改善を求めるよい方策も浮かぶかも知れません。

 しかし、パワハラを受けている人がいるのに、周りが何も介入しようとしないで、冷たい空間が広がっているならば、これほど深い孤立感を味わわされる場もないでしょう。

 そういう意味では、その場にいる一人一人が対応を問われます。「知らぬ振り」は「パワハラへの加担」に他ならないということを、職場内で研修するなどして、意思統一しておく必要があると思います。

June 14, 2010

第7回国際職場のいじめ学会(大橋)

 「いちご」以来の大橋です。

 5月は16日に沖縄・普天間基地を雨の中で囲んできましたが、その報告も書けないうちに、私はまた慌ただしく仕事を前後に振って、5月31日から6月6日まで、イギリスへ行ってきました。

 「第7回 国際職場のいじめ学会」です。

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 イギリスのウェールズにある街、カーディフで行われました。
 前回はカナダのモントリオールであったのですが、もう2年になるのですね。

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 この度は撮影を抜かってしまい、学会風景がありません。発表パワポを写したものはたくさんあるのですが。
 これは、2日目のディナーの光景です。

 学会参加者は年々増え、今年は230名の参加となったそうです。

 日本からも10名が参加していました。「職場のモラルハラスメントをなくす会」 アカデミックハラスメントに取り組むNAAH(Network for the Action against Academic Harassment)、社会保険労務士・臨床心理士の涌井美和子さん、そして労働法の大和田敢太教授(滋賀大学)、医療研究の大学院生の方。
 職場のいじめ・ハラスメント問題は、メンタルヘルス研究の方向からも関心を持たれています。
 快適な就業環境を守るために、日本からも「職場のいじめ規制法」の制定運動を盛り上げていきたいと思いました。
 学会では、既に規制法が導入された国々から、その法律の検証が行われています。まだ法律がない日本から見れば何歩も進んだ議論をしているわけです。


「Poster_Presen_AAWMH.pdf」をダウンロード

 これは、「職場のモラルハラスメントをなくす会」がポスターセッションに参加して、同会の無料電話相談の統計や、日本でいじめ・ハラスメント訴訟がどれほどあるかの統計などをまとめたものです。

 日本からの参加だと言うと、「カローシ」という日本語がそのまま仕事に疲れ果てて死んでしまう日本人像として世界に捉えられていることを感じさせられます。
 過労自殺、も、関心を持たれていました。

 しかし過労自殺も日本独自ということではなく、フランスでも仕事上の悩みによる自殺は増加しているそうです。
 学会に行く前の雑誌レポートで、大会社の労組が会社と職場環境改善の交渉をしていることを知りました。

 職場のストレスは万国共通です。であれば、日本にもヨーロッパ並みの「ディーセントワーク」を導入して、働きやすい環境に敏感な社会にしたいものです。

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 中之島公園で日光浴をするカメたちです。


 

September 28, 2009

「労働者」の存在感-スウェーデン・オランダ訪問【大橋】

 大橋です。

 このシルバーウィークの期間を利用して、労働問題に関わる弁護士と労組関係者の有志で、スウェーデンとオランダの労働事情を調査する訪問企画を組んでいました。

 帰ってきたところですので、速報的にご報告です。

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 スウェーデンのストックホルムにある、最大の労働組合・LOの本部です。

 スウェーデンでは、平等オンブズマン及び統合化男女平等省という行政機関を訪ねた他、社会民主党の女性同盟と、2つの労組(LO及びユニオネン)を訪ねました。

 スウェーデンは、長らく続いた社会民主党主導の左派連合が右派連合に政権を譲って3年目、来年には改選があるそうです。
 右派連合の政策は労働者には逆風でしたが、これが経済動向との関係で「やむを得なかった」のか「やはりダメだった」のか、来年に向けて論争が始まっていました。

 男女平等(機会均等)施策にも逆風が見られたようです。ただ、いったん進み出した方向性「男女ともフルタイム・男性にも育児休暇」の流れは止まらないという印象でした。

 町中でも、父親休暇中の子連れの男性が目立ちました。

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 オランダは、いわゆる「1.5モデル」、夫婦で合計1.5の働きをするパートタイム労働が推進されてきた国と言われています。

 オランダでは、最大の労組FNVの傘下にある、女性労働組合と、公共事業の労組を訪ねました。
 また、オランダ独自の機関といえる、労組・経営者・学識経験者で構成される社会経済審議会SER,そして経営者連合VNO-NCWを訪問しました。

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 オランダでは1人の男性労働者で家族を養えるだけの給料が得られるという所得水準の高さがあり、妻があと0.5働けば家計的には十二分で、オランダの労働力不足の事情からパートタイム労働が推進されてきたという感じです。また、聞いてみますと、母子家庭になっても、母の収入に家賃扶助・子ども手当その他を合わせると休暇に家族旅行に行けるくらいの収入になるそうです。
 これは、ビザを得てオランダの住民となった人には全て適用されるそうです。

 そうした事情と、寛容さの気質からか、今日、オランダの人口の20パーセントはオランダ以外にルーツを持つ人が占めているそうで、比較的低賃金の現業労働は移民労働者がまず就いているようです。(ファストフードの店員、ホテルの従業員、清掃労働者は移民の人たちでした。)
 この人達も、後に述べる「労使共同合意」により職務給が決まっていて、資格をとれば次の職務へ移行できます。
 FNV女性労働組合では、移民出身の女性労働者からリーダーを養成する特別企画を組んでおり、「白人で年寄りの男性が多い労組に多様性を巻き起こす」と意気盛んでした。

 移民を受け入れて多様性をもった国を作るということが、政策の方向になっており、それに対して既得権勢力のオランダ人からの不満が見え隠れするが表には公然と出にくい、そういうせめぎ合いが感じられました。

 家庭及び社会における男女平等は、一定レベルの生活が保障された中で、次なる課題として各人に任されているという感じがしました。あくまでフルタイムで平等を追及していくスウェーデンとは違いがあるようです。

 あと、オランダの労組で見せていただいた「労使共同合意」というものには、職務給料表がありました。例えば介護職で、こういう資格があれば初任給はいくら、1年経験を積むごとにいくら、という一覧表です。
 10年で一つの職務表は上限になり、さらに高給を求める場合には資格取得をして次の表の適用を受けることになります。
 「これぞ均等待遇の見本」というべきもので、参考になりました。さらにこれを日本に適用させるには、日本ならではの職務分析が要るので、大変な作業とは思われるのですが、重要です。
 そして、これを就労時間比例でパートタイム労働に適用するわけです。

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 いずれにしても、両国とも、労働者の働く権利、平等に扱われる権利、人並みの生活を保障される権利の存在は決定的でした。

 日本のように、派遣契約が更新されなかったらあとは生活保護しかないとか、パートタイム労働では時給が正社員の半分以下だとか社会保険も厚生年金も適用がないとか、そういったあまりにもせーフティネットがなさすぎる現状は、両国から見れば「信じられないひどい状況」だということになります。

 両国では、労働組合が労使自治の中で労働協約をがっちり締結し、かつ、政策にきっちり関与し、労働者全体の地位の向上のモデルを作ってきました。
 オランダでは、経営者連合の担当者さえもが「労働者にファーストクラスとセカンドクラスを作るのは、差別でしょう?」と当然のように言ったのが、大変に印象的でした。

 日本にとっての大きな課題です。

June 29, 2009

車道を歩く-均等待遇ウェーブのパレードに参加【大橋】

 続けて大橋、6月27日の話です。

 「6.27均等待遇ウェーブ 安心して生活できる賃金・雇用を!」

というテーマの集会とパレードがありました。

 主催は、「均等待遇アクション21大阪実行委員会」で、私は事務局団体の中の「いこる」と「働く女性のための弁護団」に入っているので、これに参加してきたのです。

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 パレードの迫力としてはちょっと人が少なめだったのですが、天満橋のエル大阪から、南森町へ北上し、1号線を西に向かい、出入橋まで歩きました。

 残念ながらデパートの前や商店街を通ったわけではないので、目立ち方もイマイチだったと思いますが、大阪駅前を歩くのはきっと警察も認めなかったのでしょう。

 車道をゆっくり歩いていき、歩行者や店の店員さんたちに注目してもらいます。

 交差点を渡るときには列のお尻は赤信号になってしまったりしますが、随行している警察官がピッピと警笛を鳴らして自動車を止めています。
 パレード(デモ行進という方が言論表現活動をしている感じがして本当だという気がしますが)は目立つことに意義があるので、こうしたものが「よくある」「見てみよう」「参加してみよう」と思える状況であるべきなのでしょうに。

 コールを紹介しますから見てみてください。当然のことを言っていて、なんだか母子家庭の依頼者の複数の人が目に浮かんで泣きそうになりました。

 「女と男で賃金ちがう」「なんでやねん?そらあかん!」
 「女も男も均等待遇」「そうや、そうや、それがええ!」

 「パートはないねん一時金」「なんでやねん?そらあかん!」
 「パートもボーナスあたりまえ」「そうや、そうや、それがええ!」

 「正規とパートで時給がちがう」「なんでやねん?そらあかん!」
 「正規もパートも均等待遇」「そうや、そうや、それがええ!」

 「何年働いても不安定」「なんでやねん?そらあかん!」
 「有期契約原則禁止」「そうや、そうや、それがええ!」
 (以下略)


 また、「ごんべさんの赤ちゃん」の替え歌「間接差別バージョン」というのも歌いましたが、これも泣けます。

 「おんなじ仕事をしてるのに パートの時給は安すぎて
  手当もなければ期限付き これーは間接差別!」

 「子どもができたっておめでとう パートは育休とれません
  何年働いても雇い止め これーは間接差別!」
 (以上抜粋。8番まであります)


 世の中のたくさんの人が、これを聞いたら胸に迫るはずだと思います。パートタイマー・契約社員・派遣社員の人たち。
 もっとたくさんの人に目を向けてもらう方法は何がいいのかな?と、歩きながら思ったことでした。

 パレードの終わりの出入橋では、名物のきんつばをしっかり買いました。

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 北浜にある事務所まで歩いて帰ったら、途中の「堂島ロール」の50人くらいの行列にも遭遇。

 そして、夕方の依頼者打合せの準備に戻ったのでした。

December 06, 2008

11月のレポートその2 「ハラスメント連続講座」第3回の講演【大橋】

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 11月29日(土)午後、「働く女性の人権センター いこ☆る」主催の「ハラスメントに負けないために 連続講座」の締めの第3回がありました。

 締めという重責だったのですが、「日本にもハラスメント規制法を!~ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ~」というタイトルで、「実際に日本で法的手段をとるとしたらどうなるか、どういう難しさがあるか」「EU、特にフランスの取組みによる法制化でどうたたかいやすくなったのか」という内容を話しました。

 主には、例えば労災認定をとる場合に問題になることとか、裁判や労働審判を起こす場合の立証の問題とか、慰謝料金額とかいったお話をしました。
 フランスの法律については、実際のところ、自分で原典をあたったわけでもありませんので、学者の方の論文をまとめて報告するという程度だったのです。
 ただ、法制化された内容は、「挙証責任の転換」や「労働組合訴権」、「告発したり証言した労働者の保護規定」「離職の無効による復職ないし損害賠償の規定」「いじめに対する刑事罰」など、示唆に富むものです。

 どのように運用されているのかということについては、またどなたかによりレポートが出されるのを待たねばなりません。
 ちなみに、本年6月の「国際職場のいじめ学会」では、マリー=フランス・イルゴイエンヌさんの講演で、フランスでは法制化の次の段階として、定義へのあてはめ問題、つまり「どこからがいじめなのか」のライン引きに論争点が移り、肝心の職場環境の整備の問題に焦点が当たっていないという報告もありました。
 もちろん、日本より1段階先に行っているのは間違いなく、また、それだけ「いじめ」問題が根深いものであることを示していると思います。

 私の後に、ユニオンおおさかの小田みどりさんから、労働組合として取り組んでいる具体的ケースについてのお話もされました。

*~*~*~*~*

 「職場のいじめ」問題は、現に「いじめを受けている!」と思ったときに、まだストレスで精神が疲れ切る前の段階で適切に労働組合へ相談ができて、職場環境の改善に進んでいけることが何より大事だと思います。

 弁護士のところに相談に来られるのは、既に「うつ」の診断が出て休職中であったり、休職が長引いて退職または解雇されてしまったりしてからのことが多いので、「次のためにどうするか」という相談にならざるをえなかったりします。

 職場を離れてからだと、ハラスメントの証拠を確保することから難しくなります。

 労働組合がまず身近になってほしいと思いますし、弁護士への相談もなるべく気軽にしていただきたいと思います。
 

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