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October 18, 2010

季刊労働法 特集「パワハラの現実的解決に向けて」【大橋】

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 先週、日弁連人権擁護大会が岩手であり、そのとき立ち寄った「遠野」の旧家です。

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 「季刊労働法」の2010年秋号が、「パワハラの現実的解決に向けて」という特集を組んでいます。

 パワハラは激増していると言われており、これはどんな要因によるのか、どんな法的解決がなされるのか、予防としては何ができるのか。そうした問題意識です。

 弁護士は、パワハラが起こってから(往々にしてうつで休職したり退職したりしてから)ご相談を受けることになり、解決の難しさを痛感します。

 できればパワハラが起こらないような職場であってほしい。そういう考えから、予防策には関心があります。

 「職場におけるパワー・ハラスメントとメンタルケア」(武藤清栄)論文の中に、「職場でなぜパワー・ハラスメントが起こるのか」という行があり、「心理社会的要因」「職場の要因」「加害者側の要因」「被害者側の要因(「もちろん、被害者側にどんな要因があろうともハラスメントを正当化してはならない」とのコメント付き)」に続き、「コミュニケーション要因」が挙げられています。

 「コミュニケーション障害」は無意識に行われるので、自分自身のコミュニケーションのクセ(伝え方)を知ることが必要である、としています。

 ①高Expressed Emotion・叱咤激励
  例:「どうなってんだ!辞めちまえ!」「お前は全くだめな奴だなあ。ったくもう!邪魔なんだよ!」

 ②ダブルバインド(二重拘束、矛盾することを同時に行う)
  例:「私はね、君のことを責めるつもりはないんだよ。だけど、私に一言もないなんて、君は最低だねえ!」
    「好きなようにやればいいんだよ。早くやってよ、任せるから」と言っておきながら「何やっているんだ!勘弁してくれよ!」と板挟みにする。

 ③すりかえ
  例:部下が「先週お渡しした私の企画案を読んでいただけたでしょうか?」と聞くと、読んでいないのに気づいて「君ねえ、この前の出張の報告書、まだだよね。」とすりかえる。

 ④共依存的コミュニケーション
  例:「君たちは私がいないと何もできないじゃないか。しかし君たちがしっかりしてくれないことには、この仕事回らないんだよ!」

 なるほど、いずれも聞く方はストレスが溜まりそうな対応です。
 そして、これは、「コミュニケーションのクセ」であって「無意識に行われている」というのです。
 しかし、まず部下は、「無意識だ」と思えるかどうか?いや、上司に悪意を感じてしまうでしょう。
 そして、上司であるが故に、「その言い方はしんどいから止めてほしい」と言えない。職場で権力を持っている上司であるからこそ、ただの「コミュニケーションの問題」に留まらず、「パワーハラスメント」として成立することになります。

*~*~*~*~*

 イギリス・カーディフで行われた「国際職場のいじめ学会」で、2年前の学会以来、注目度を高めていたのが「バイ・スタンダー(傍観者)」の研究です。

 パワハラは職場の中で起こるものであり、必ずしもセクハラほど密室で2人だけの空間で起こるものではありません。職場の同僚が見ている中で起こります。

 イヤな上司、クセのある上司は別に珍しくありません。それに対して、部下が複数でその「イヤな思い」を共感していれば、パワハラを受ける部下もとりあえず孤立感を持たなくてすみます。
 そしてそのうち、誰かの知恵で、上司に改善を求めるよい方策も浮かぶかも知れません。

 しかし、パワハラを受けている人がいるのに、周りが何も介入しようとしないで、冷たい空間が広がっているならば、これほど深い孤立感を味わわされる場もないでしょう。

 そういう意味では、その場にいる一人一人が対応を問われます。「知らぬ振り」は「パワハラへの加担」に他ならないということを、職場内で研修するなどして、意思統一しておく必要があると思います。

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