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October 2010

October 25, 2010

長崎フィールドワーク【大橋】

 大橋です。

 この週末は、2泊3日で、雲仙・佐世保・長崎を巡ってきました。多業種の人で福祉・平和・社会問題での勉強と企画をしているグループ、Peace Net Osakaのフィールドワークです。

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 雲仙では、「コロニー雲仙」という、社会福祉法人南高愛隣会が取り組む福祉施設群を見学させていただきました。
 こちらは、障害者を施設で生活させるのではなく、施設は通過点であり、障害年金・就労・生活保護で経済的安定を得た後には「愛する人との暮らし」を支援していくという明確な目標を掲げています。「愛する人」とは、配偶者であったり親であったり、また友だちであったりしますが、精神的な自立、生き甲斐を求めるのが人間であるという明確な考え方に大いに共感を持ちました。
 また、こちらは、刑務所に繰り返し収容される障害者・高齢者をその本来の受け皿である福祉につなぐために、更生保護施設も設立するという積極的な取り組みをしています。施設は、障害者グループホームを解消した後のものを再利用したとのこと。新しい意義が見いだされたのです。
 ご多忙な中で見学案内と説明をしてくださった前田さん、阿部さん、どうもありがとうございました。
 コロニー雲仙の作業所で作られた「そうめん」を買いそびれたので、取り寄せをさせていただこうと思います。

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 雲仙の温泉街で、沸騰し湧き出る硫黄泉から立ち上る湯煙は、一見の価値がありました。こちらは明治の頃から外国人居留者の避暑地として栄えたそうで、レトロモダンな雰囲気でした。
 酸性の強い硫黄泉はなかなかヘビーで、なめらかでよいお湯なのですが、上がった後にはしばらく体を休めたい感じです。

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 佐世保では、社会民主党からの選出で衆議院議員を務めた経歴を持つ今川正美さんに、米海軍基地・自衛隊・佐世保重工の関係での現地案内と説明を受けました。「思いやり予算」で米海軍の待遇が良すぎて、自衛隊も心穏やかでないというほどの現状があるそうです。米兵犯罪も報道されないだけで実は発生しているとのこと。知らずに佐世保を見て歩いたとしてもわからないようなことばかりでした。
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 ちょうどよさこい祭りで賑やかな商店街を抜け、佐世保バーガーをおいしくいただきました。

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 長崎市内に着いたのが夕方で、大浦天主堂を拝観したところで主要施設の閉園時間が来て、あとは土産物屋と中華街と、夜の出島散歩でした。

 翌日はフェリーで「軍艦島」見学ツアー。小さな島だったところの地下が良質の炭鉱だったため、江戸時代末期から採炭がされていましたが、三菱の経営となって埋め立てで面積を約三倍に拡大し、戦中・戦後に大いに栄えた採炭の島です。最大で5300人がこの島に住んでいたそうです。石油へのエネルギー転換で1974年に閉山。その後、世界遺産暫定リストに載り、観光コースが整備されています。
 (といってもこの日は土砂降りで・・船内でカッパを買い、デジカメを雨に濡らしながらの見学・撮影でした。)
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 今は、当時近代的であった設備や高層アパートが潮風に朽ちていくままですが、この島から海底に616メートルも掘り進めた炭鉱があり、たくさんの家族の生活がここにあったと考えると、感慨深いものがありました。

 あと、浦上にある長崎原爆資料館へ。原爆投下地点は盆地の真ん中で、周囲の山に遮られて投下の影響は限定されたものの、熱線・爆風・そしてすぐさま起こった大火により多くの死者を出したことが窺えました。永井隆博士(長崎医科大学)が自ら被爆し、妻を失い、残された二児を育てながら被爆者の治療に心血を注ぎ、6年後に死去されたことが説明されていました。
 永井博士の「長崎の鐘」という手記を館内のショップで買って、帰りの電車で読んできましたが、原爆投下直後の渦中での貴重な記録から、「長崎原爆投下とはどういうことだったのか」を知り、投下と敗戦の後に生き残った人々の放心状態を救った信仰の力を感じることができました。

 私が今、佐賀地裁に通っている「玄海原子力発電所のMOX燃料使用差止訴訟」にも、隣接する長崎在住の方が、原告として参加しておられます。長崎に投下された原子爆弾にもプルトニウム239が使われていました。MOX燃料も同じ材料・同じしくみでエネルギーを作るものです。長崎が原爆で受けた深い悲しみ、そして再生と平和への長く辛い努力の歴史が、私にも少し感じ取れたように思いました。

October 18, 2010

季刊労働法 特集「パワハラの現実的解決に向けて」【大橋】

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 先週、日弁連人権擁護大会が岩手であり、そのとき立ち寄った「遠野」の旧家です。

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 「季刊労働法」の2010年秋号が、「パワハラの現実的解決に向けて」という特集を組んでいます。

 パワハラは激増していると言われており、これはどんな要因によるのか、どんな法的解決がなされるのか、予防としては何ができるのか。そうした問題意識です。

 弁護士は、パワハラが起こってから(往々にしてうつで休職したり退職したりしてから)ご相談を受けることになり、解決の難しさを痛感します。

 できればパワハラが起こらないような職場であってほしい。そういう考えから、予防策には関心があります。

 「職場におけるパワー・ハラスメントとメンタルケア」(武藤清栄)論文の中に、「職場でなぜパワー・ハラスメントが起こるのか」という行があり、「心理社会的要因」「職場の要因」「加害者側の要因」「被害者側の要因(「もちろん、被害者側にどんな要因があろうともハラスメントを正当化してはならない」とのコメント付き)」に続き、「コミュニケーション要因」が挙げられています。

 「コミュニケーション障害」は無意識に行われるので、自分自身のコミュニケーションのクセ(伝え方)を知ることが必要である、としています。

 ①高Expressed Emotion・叱咤激励
  例:「どうなってんだ!辞めちまえ!」「お前は全くだめな奴だなあ。ったくもう!邪魔なんだよ!」

 ②ダブルバインド(二重拘束、矛盾することを同時に行う)
  例:「私はね、君のことを責めるつもりはないんだよ。だけど、私に一言もないなんて、君は最低だねえ!」
    「好きなようにやればいいんだよ。早くやってよ、任せるから」と言っておきながら「何やっているんだ!勘弁してくれよ!」と板挟みにする。

 ③すりかえ
  例:部下が「先週お渡しした私の企画案を読んでいただけたでしょうか?」と聞くと、読んでいないのに気づいて「君ねえ、この前の出張の報告書、まだだよね。」とすりかえる。

 ④共依存的コミュニケーション
  例:「君たちは私がいないと何もできないじゃないか。しかし君たちがしっかりしてくれないことには、この仕事回らないんだよ!」

 なるほど、いずれも聞く方はストレスが溜まりそうな対応です。
 そして、これは、「コミュニケーションのクセ」であって「無意識に行われている」というのです。
 しかし、まず部下は、「無意識だ」と思えるかどうか?いや、上司に悪意を感じてしまうでしょう。
 そして、上司であるが故に、「その言い方はしんどいから止めてほしい」と言えない。職場で権力を持っている上司であるからこそ、ただの「コミュニケーションの問題」に留まらず、「パワーハラスメント」として成立することになります。

*~*~*~*~*

 イギリス・カーディフで行われた「国際職場のいじめ学会」で、2年前の学会以来、注目度を高めていたのが「バイ・スタンダー(傍観者)」の研究です。

 パワハラは職場の中で起こるものであり、必ずしもセクハラほど密室で2人だけの空間で起こるものではありません。職場の同僚が見ている中で起こります。

 イヤな上司、クセのある上司は別に珍しくありません。それに対して、部下が複数でその「イヤな思い」を共感していれば、パワハラを受ける部下もとりあえず孤立感を持たなくてすみます。
 そしてそのうち、誰かの知恵で、上司に改善を求めるよい方策も浮かぶかも知れません。

 しかし、パワハラを受けている人がいるのに、周りが何も介入しようとしないで、冷たい空間が広がっているならば、これほど深い孤立感を味わわされる場もないでしょう。

 そういう意味では、その場にいる一人一人が対応を問われます。「知らぬ振り」は「パワハラへの加担」に他ならないということを、職場内で研修するなどして、意思統一しておく必要があると思います。

October 03, 2010

大阪地検特捜部の一連の事態と、大阪弁護士会会長声明【大橋】

 大橋です。

 来週は出張なので仕事をしておきたかったのに、雨に降り込められて自宅待機しています。
 これからもっとひどくなるらしい・・困ったものです。

 ところで、大阪地検特捜部検事による「証拠隠滅」次には「犯人隠避」容疑での現役検事3名の逮捕事件は、朝日新聞でも連日報道されていますし、週刊新潮や女性セブンでも取材・掲載されています。
 週刊新潮は、発売日に(朝日新聞で見出しを見て)晩にコンビニに買いに行ったら、ありませんでした。
 裁判所近くの店だったので、買う人が多かったのでしょう。
 ようやく本日午前に、自宅近くの書店で買いました。

 新聞記事や週刊新潮の記事を読みながら、これまで抱いていた「特捜部」のイメージがだいぶ違っていたな、と思いました。
 私のイメージでは、「特捜部」は大型脱税事件や贈収賄事件を担当するところで、地道に通帳履歴などの裏付け捜査を重ねて客観証拠で有罪の証拠を確保した後、最後に容疑者を逮捕して、自白があろうがなかろうが立件するところだと思っていました。
 ご存じの方も多いかと思いますが、刑事訴訟法では「補強法則」というものがあって、「自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と決められています。補強証拠としての客観証拠が必ず必要なのです。
 自白に頼った捜査はしない。客観証拠から固める。そういうものだと思っていました。
 
 しかし、今回の件は、一番の客観証拠が「改ざんされたフロッピーディスク」で、後は無理矢理見立てに合わせてとった証人の調書類、そしてそれらを踏まえて本人に自白させた調書(村木さんは自白はしていませんが)という証拠で立件したということですから、最初から「無理な見立て」の事件でしかなかったということになります。

 特捜部の沽券の維持のために村木さんにとんでもない心身の苦痛と不利益を負わせたのが実態であったならば、最高検による捜査も身内意識を排した徹底したものである必要があります。

 大阪弁護士会では、去る9月29日に、会長声明を出しています。
 最高検だけにこの件の捜査を任せるのではなく、第三者機関の設置・調査と、取調の可視化を求めるものです。
 今回の件で、検察官の作る調書がいかに無理強いで都合のよい作文になり得るかが実証されてしまった以上、取調の模様を全過程につきビデオ録画することが、これを防ぐ担保になるという提言には、頷けます。


大阪地方検察庁の特捜部主任検察官による証拠の改ざん等についての会長声明
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/seimei/seimei100929.pdf

「当会は、本件を契機に、検察庁が市民の、検察庁・検察官に対する信頼を回復するためにも、第三者が参加した機関による徹底的な調査をし、真相究明と再発防止を図るとともに、被疑者等の取調べの全過程を録画・録音によって可視化するなど客観的証拠の収集・保管の過程を検証可能なものとして、その捜査過程を可視化する制度構築に真剣に取り組む事を、強く求めるものである。」(結論部分抜粋)

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