「壊れる男たち」をお勧めします【大橋】
最近、大阪労働者弁護団の中島光孝弁護士から「面白いよ!」と勧められたのが、標題の岩波新書「壊れる男たち」(金子雅臣・著)です。
今年2月21日の発行ですので、まだ書店でも平積みでした。
これは面白いです。
著者は東京都職員で、労働相談に従事しながら、社会派ルポライターとして主に労働関係の現状の本を書いておられ、特にセクシャルハラスメント問題では第一人者として有名です。
まさに現場から、セクハラを起こす男性とはどういう人たちでどんな考え方をしているのかを描き出しています。
女の私としては、まことに興味深く読み進んだ次第です。
著者は男性ですが、セクハラで加害者とされた男性たちとの面談で、男性が「男性同士、わかるでしょ」という前提で言い訳をするのが通らずに次第に追いつめられていく様子を克明に描いているのです。
中身は読んでいただきたいのであまり詳しく書きませんが、著者の問題意識は、「このごろ、男たちが壊れ始めている」というものです。
「このテーマを考えるにあたっては、男たちはこれまで、職場でも家庭でも幾重にも下駄を履かされて生きてきたことを認めなければならない。男たちは、そうした意味では、男というブランドを与えられて生き続けてきたのである。
ここにきて男たちの価値が急速に下落しているように見えるのは、単に男性優遇措置の有効期限が切れ、正当な価値評価がはじまったに過ぎないのだ。」
「果たしてこのような様変わりのショックに男たちは耐えられるのか、それとも耐えられずに崩壊してしまうのか。まさに、男たちにはそれが問われているのである。」
女性からも、男性からも、なるほどなあと考えさせられる一冊です。きっと。
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