« January 2005 | Main | September 2005 »

May 2005

May 25, 2005

軽く憲法に違反する風潮?(大橋)

 s05517_006
大橋@大変なブランクの後の投稿、です。

 先日、東京家裁まで出張した後、「忙中閑あり」とばかりに六本木ヒルズ展望台へ上ってまいりました。
 私と同じくらい東京事情に暗い人のために解説しておきますと、展望台は入場料1500円、下の階の森都市創造研究所(?あいまい)と美術館にはそのチケットで入れます。
 360度の眺望で、晩の1時までいられますが、カフェしかないのでお腹は空きますねえ。あと、お決まりの記念グッズをいろいろ売っています。
 画像は、ライトアップされた国会議事堂を写してみたものです。

 ところで。
 今、小泉首相が靖国神社を参拝することについて、どう見ても法律家からはおかしな議論が政治の分野で進んでいます。
 「首相の靖国参拝」は、「中国・韓国を刺激するからダメ」なのですか?

 現行日本国憲法には、20条に「政教分離」の規定があります。
 「首相の靖国参拝」は「政教分離原則」に反し、憲法違反である・・こう考える原告が全国6地裁で次々に訴訟を起こし、今に至っています。この4月の東京地裁判決で、ちょうど全地裁の判断が出そろいました。
 この訴訟の代理人に名を連ねている私は、この4年間、抽象的に「軍国主義の象徴」という認識しかなかった靖国神社が、戦没者遺族の心の中で、具体的にどのような存在として戦後60年を苦しめ続けてきたのかに触れる経験を重ねてきました。
 靖国神社にも行きました。やはり近所で見かける神社とは違います。「遊就館」という展示館があり、そこで靖国神社という宗教団体の宗旨がよく分かります。
 祀られているのは「軍神」、戦争に行って天皇のために死んでいった人たちが生前の氏名に「・・命(みこと)」という名前を付けられて神とされています。およそ明治以降の日本の戦争は、欧米に対抗してアジアをひとつにまとめる日本の偉業のためになされたもので、力がなかったから戦争に負けたのだ、という正当化の論調で満ちた施設です。「国家神道」を体感できる(スマートなところのみだとは思いますが)ので一度行かれるのもよいと思います。
 靖国神社がそういうところだと、ぜひ分かってニュースを見てほしいと思います。A級戦犯を祀らなければよいという話ではありません。

 かつて中曽根首相靖国公式参拝に対する訴訟が起こされ、「政教分離違反」を裁判所に宣言させるのに大変な労力が掛けられました。結局まともな宣言はなくて、大阪高裁の「この状態が継続すれば違憲」という判断が精一杯でした。
 今回の小泉首相靖国参拝に対する訴訟では、各訴訟団は「政教分離違反を明確に宣言させること」を大きな獲得目標にしながらも、もう一つ、「首相が繰り返し繰り返し見せつけるように参拝し、マスコミで流布させた行為により被った精神的苦痛をどのように法的侵害利益として認めさせるか」という具体的な権利侵害の認定へと力点を増やしていきました。原告の中に韓国の方、台湾の方が沢山入られたこともそれを後押しする大きな要因でしたし、現に「苦痛だ」という思いは原告の中で共有されていたと思います。毎年、毎年、大きくマスコミを騒がせながら小泉首相の確信的参拝行為は続くのですから。

 この訴訟に対して、裁判所7判決はただ一つを除いて「憲法違反」を明確に宣言しませんでした。
 もうひとつの論点も、ただ一つを除いて素通りしました。
 この消極性に勢いを得たように、「首相参拝容認」の空気が濃度を増し、あたかも日本国内では反対がないかのようです。憲法違反か否か、という議論は、「憲法は変えればいい」という方向へ流れていっています。
 誰が憲法を変えるのですか?変えないことができるのですか?
 政教分離原則は戦前国家神道の思想支配の大きさから深い反省を込めて導入されたものではないのですか?

 裁判所の影響力も大きなものです。
 が、「憲法違反の風潮」を批判的に見る、歴史的・論理的な思考が、今、一人一人に問われています。
 

« January 2005 | Main | September 2005 »

October 2014
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

Recent Trackbacks