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【お知らせ】弁護士松井淑子の出向について

■ 弁護士松井淑子は、平成22年7月10日から任期付き公務員となり、国税審判官として国税不服審判所にて勤務しております。平成25年7月までの3年間の予定であり、この出向中、弁護士業は兼業禁止のため休業とさせていただいております。
 多くの皆様にご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、どうぞご理解いただきますようお願いいたします。

April 02, 2012

韓国企業との取引について【金】

 先日、弁護士同士の勉強会で、「韓国における債権保全・回収の方法-韓国企業との取引での注意点」という内容で発表をしました。
 2008年、リーマンショックにより、当時、ウォン高から一気に円高に振れました。それで、円建てで韓国企業と取引していた日本企業の売掛金回収についていくつか相談を受けました。その相談事例に基づき、2009年に外部のセミナーでも同内容の講演をしたのですが、今回、それについて、少し書いてみたいと思います。

 取引で最も基本的な事項の一つに、取引の相手方が、個人なのか、それとも法人なのか、法人であれば、代表権をもっている人が誰なのかを特定し、事前に、相手方の財産関係・信用状況を把握しておくことだと思います。

 韓国で事業を行う場合、日本と同じように、個人事業主と法人に大きく分かれます。

 韓国の個人事業主の場合、個人の身分確認方法として、住民登録票や運転免許証があるほか、税務署から「事業者登録証」を発行してもらえます。ここには、商号(屋号)、事業所の所在地、代表者の氏名・住所、住民登録番号、開業年月日などが記載されています(ここでいう「代表者」は、事業者登録をした本人をいい、法人の代表者とは概念が異なります)。

 一方、法人の場合、商業登記制度がありますので、日本と同様に「商業登記簿謄本」を登記所で発行してもらえます。

 韓国の個人事業主と取引をすると、事業者登録証上の代表者や実際に代表者として振る舞っている人と一致しないことが少なくありません。また、法人との取引でも、登記簿上の代表者(代表理事)と違う人が、「会長」、「社長」、「顧問」等の名刺を持って、取引の場に出てくることがあります。
 その理由は、過去の不渡りなどで、本人名義で事業者登録をできなかったり、法人の代表者になれないので、他人の名義を借りていることがあるからです。

 そのため、取引に先立って「事業者登録証」の写しをもらったり、商業登記簿謄本を取得して、それらの記載事項と実際に取引で相対している人の情報と一致しているかを確認しておく必要があります。

 また、個人事業主の代表者、法人の代表者の住所を把握しておけば、韓国でも不動産登記制度がありますので、住所地の不動産登記簿謄本を取ることで、代表者の所有不動産を担保に入れさせるなど、将来の債権回収に備えることもできます。

 何を今さら当たり前のことを言っているんだと思われるかもしれません。しかし、相談に来られた方の中には、相手方の調査を疎かにされている方も時々みられ、債権回収に行き詰まることも多いです。

 最近、改めて日本企業の動向を調べたところ、この間の円高や韓国企業の躍進等から、製造業、飲食業を中心にかなりの日本企業が韓国に新たに進出しているようです。進出を考える企業では、進出先でのトラブルに備えて、できるだけの備えをしておきたいものです。

April 01, 2012

公務員労働者の方々へ 仕事に誇りを持って働き続けてください【大橋】

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 大阪の国立国際美術館で開催中の「草間彌生展」。4月8日までということで、休日はかなり混み合っているようです。私は自営業の強みで平日午前に行ってきました。

 幼少の頃から視界に点々が広がる幻視を見、幸せとは言えない家庭環境で育ち、前衛芸術の道を突っ走って、現在では精神科病院からアトリエに通って作品を描き続けるエネルギーは、生きる存在への疑問、死への誘惑と恐怖、そして、それらを乗り越えて永遠にありたいという湧き上がる生命力から発せられていると感じました。

 生命力強く、自らの存在を芸術家という存在に高めてきた草間彌生という人に対して、「この人はこのように自分を肯定し生きてこられて、本当によかった」と思いました。
 精神障害がマイナスではない、という好例です。それがこのように社会に発信できれば。

*~*~*~*~*

 さて、私の所属する「大阪労働者弁護団」では、大阪市政・大阪府政に対して相次いで抗議声明を発しています。

 それというのも、ご存じのとおり、「大阪市職員アンケート問題」「教育基本条例・職員基本条例案」「君が代起立斉唱職務命令」と、大阪市・大阪府職員の組合活動をつぶし、かつ、人権を侵害して顧みない政策が次々と出されているからです。(↑HPにアップしています)

 私個人が公務員労働者の方々の前で直接お話しする機会もないので、この場で、力付けのメッセージをお送りします。

 私も5年間だけですが、地方公務員の仕事をしました。
 京都府宇治市という小自治体で、法規と公報作成と選挙管理委員会事務局の仕事をしましたので、市役所の仕事のたいていの部門の人と接点がありました。

 地方公務員の生活は、給料は民間の常勤職と比べて決して高くないけれども、確かに安定していて、そして単調です。
 法律に従って、あるいは議会で成立した条例に従って、正確に、公平に、仕事をする。
 ドンとボーナスが上がることもなく、地域からおかしな目で見られることのないよう矜持をもって、淡々と公務に従事する毎日。
 そういう生活です。

 民間企業の従業員の働きぶりの成果は、商品やサービスの売上に反映して、人気が出なければ会社も潰れるし、よいものであれば業績が上がって給料も上がるでしょう。
 それに比べて公務は、人気・不人気の尺度では測れません。なければならない仕事で、正確にこなされなければならず、質が悪ければ住民に多大な迷惑・損失を及ぼします。
 
 公務員の仕事には、繁忙期と閑散期のある職場もあり、「1年の半分は暇」というところも確かにありました。
 しかし暇なのは働く者にとっては苦痛なことであり、その繁閑は業務の組み合わせや応援で改善できるところもあったと思います。


 今、公務員は給料が高すぎると言われたり、いかにも労働密度が薄いように言われたりして、組合活動も悪し様に言われ、一人一人の公務員がバラバラにされようとしています。それどころか、相互監視の息苦しい雰囲気さえ作り上げられようとしています。

 そんな職場で、よい仕事ができるわけがありません。
 
 公務は、大事な仕事です。ぜひ誇りをもって働き続けてください。
 職場のチームワークをかき乱されないように、しっかり働いてください。
 
 そして、公務員労働者の働く環境の悪化を他人ごとと思えず心配している民間労働者や私たちに、その姿をアピールしてください。

February 26, 2012

清風高校へ「法教育授業」に行きました【大橋】

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 昨年秋に青森・六カ所村の「花とハーブの里」へ行き、そこで買ったチューリップと水仙の球根を植えて待っていたら、ようやく芽が出てきました!
 この頃はよい勢いで伸びています。3月・4月で花が咲くのでしょうか。青森の春は、こんなスピードであっという間に花が咲くのかな、と想像したりします。

*~*~*~*~*

 先週は、大阪弁護士会が府内の高校に出張授業をする「法教育授業」の一員として、清風高校にお邪魔しました。2年生のクラスでした。

 50分の授業、テーマは何でもよいということだったので、「弁護士の仕事とは何か」について、黒板に字を書いたり、生徒さんを当てて答えてもらったりしながら、話をしました。

 高校生。高校を出たら、就職するにせよ、大学に行くにせよ、親元を離れて社会のいろんな危険に晒されます。
 就職したら、「労基法も守らないひどい職場」「指導できず怒鳴るだけの上司」に遭遇することあり。
 大学に行けば、キャッチセールスのお姉さんに優しく迫られたり、うっかり自分名義の銀行預金口座を売って犯罪に加担することもあるかもしれません。
 恋愛はよいけど、育てる力もないのに子供ができてしまうこともあります。

 そういうとき、どうするか?

 親に心配を掛けたくなくて、相談できないなんてこともあります。
 そうしたら、第三者の弁護士に、早く相談に行ってほしい。
 そのつもりで探せば、弁護士会の相談センターも何カ所もあるし、電話相談制度もあります。
 
 問題はこじれないうちに、早く、です。

 あと、授業の時に「これは言わなきゃ」と思っていたのに、すっかり言い忘れてしまったことがあります。

 「裁判所から封筒が来たら、無視しないでね」ということです。

 知っている人は知っていますが、民事訴訟は「反論しなければ、認めたことになる」というコワイ制度だからです。
 高校生のうちに、それだけでもわかっていてほしい。1回の授業では、法教育は足りません。

February 05, 2012

取調べの可視化推進ファイル配布中【大橋】

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 これは、日本弁護士連合会が昨年末から有償頒布している「取調べの可視化」推進グッズ、透明ファイルです。

 紙を中に挟んだ状態では、「私がやりました・・」という自白の言葉が。なぜかムンクの叫びのように苦悩していますが・・


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 しかし、中の紙を抜いた状態では、「私の叫びが無理やりねじ曲げられました・・」となるのです。虚偽自白をさせられた苦悩の叫びです。

*~*~*~*~*

 こちらを、相談者・依頼者の方に差し上げています。

 「やっぱり、無理矢理言わされているもんなんですかね。どうしてやっていないのにやりましたって認めてしまうのかなって、不思議なんですけど」

と、だいたいの方が言われます。

 そうなんですよね。
 しかし、逮捕・勾留されている被疑者や被告人によく会う、弁護士にとっては、「警察で調べを受けたとき、言ったとおりに書いてもらえない」という訴えはあまりに普通の出来事です。

 この「常識の乖離」を埋めたい。
 それが、取調べの可視化推進グッズを配布する私の気持ちです。

弁護士がする結婚生活アドバイス【大橋】

 夫婦関係の法律相談をたくさん受けていますと、自ずから「不幸になりそうな結婚のパターン」が見えるようになります。

 もちろん、幸せの形はそれぞれなので、鉄砲玉のように仕事に飛んでいく配偶者を陰で支える幸せもあり、浪費家でも優しいからとぞっこんの場合もあり、安易な口出しは無用ということは多々あります。

 しかし一方、「これで当たり前だと言われるけど、本当にどこの家もそうなの?」と疑問に思うことがあるのではないかと思います。

 疑問に思うことを忘れるくらい当然だとされて、何年も過ごしてしまっている人もよくおられるのですが。

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 ひとつの例として、あなたは配偶者の収入とその運用先をご存じでしょうか?

 はっきり二つに分かれます。

「定額の生活費しか渡されていないので全く知らない」か、

「全部管理しているので知っている」か、です。

 これが、正に結婚生活の主導権をどちらがとっているかを明らかにしています。

 本当は、結婚当初にここはチェックしておいてほしいところです。

 なお共稼ぎの場合、「定額を双方が出しあっていて、後はお互いに知らない」ということもあります。これは平等でお互い納得だからよいのでしょう。


 配偶者の収入を知らないという方には、同一住所地に住んでいれば、市役所で課税証明書をもらって確認できますよ、とお教えしたりします。

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 結婚当初、また結婚生活の中で、一度うちの夫婦関係をチェックしてみようかな、という方。

 これも法律相談のうちです。お気軽にお越しください。

January 29, 2012

「労働者の平等・人格権の保障」講演【大橋】

 1月19日(木)の夕方、ひょうご労働法律センターという労働組合の集まりに招かれ、「労働法基礎講座」の講演をしてきました。

 テーマは「労働者の平等・人格権の保障」。

 地域ユニオンの人が電話相談などで、最も数多く、深刻なのが、職場のいじめ問題だそうです。
 それで、「今日の講座は大変期待していました」という声を最初に聞き、ご期待に添えるだろうかと思いながら、1時間半の講演をしました。

 内容としては、
「労組のビラと名誉毀損」
「企業の秘密保持・信用保持と公益通報」
「セクシュアルハラスメント」
「職場のいじめ」
「正社員とパートタイマーの均等待遇」

といったものをとりあげていきました。

 職場内で、労働者が人として権利を不当に侵害されないこと。この点で最も効果的なのは、労働組合が労働者一人一人の権利を守る役割を果たすことです。
 労働組合は組合費で運営されていますから、タダで助けてくれるものではありませんが、職場で使用者と直接に団体交渉をすることができるのです。
 私たち弁護士の出番は、実際のところ、「もう辞めてやる」となったときの後始末になりますから、せっかくの職場を維持したいという労働者の思いに答えるのは、やっぱり労働組合なのです。

 労働組合と、弁護士とで、労働者の働きがいのある職場生活のためにタイアップしていきたいと思っています。
 昨秋より、大阪労働者弁護団の事務局長をしていますが、思いは「労働組合、頑張れ!」です。

January 04, 2012

新年のご挨拶【大橋】

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 2012年、新年明けましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願い申し上げます。

*業務開始は1月10日(火)からとさせていただきます。まずはご挨拶から。

*~*~*~*~*~*

 昨年は、3月11日発生の東日本大震災が、日本、大きくは世界に大きな変化をもたらしました。
 大津波という自然の脅威を目の前にして、支配しきれない自然の力に人間はどう取り組むのかという根源的な問題も突きつけられました。
 また、福島第1原子力発電所の事故は、危険な原子力を完全に人間が制御できる、という「安全神話」の虚構性を明らかにしました。

 さらに原発事故は、市民が情報を開示させ、それを自分の責任で判断し、行動しなければならないということを強く示したのではないかと思います。
 政治に任せておけば、問題のないようにやってくれるはず。そう思って、政治家(議員)とか官僚に丸投げでお任せしていた結果が、「対応できそうにないことは公にしない」という秘密主義の土壌となっていたのではないでしょうか。

 私たちは、一刻を争う状況のとき、政府が「対策なき情報開示」をしたとしても、混乱して暴徒となったりするでしょうか。そんなことはないはずです。情報がないから不安になるし、後で隠されていたと分かれば憤怒が沸き起こるのです。 
 
 情報の適切な取捨選択をする力こそが、今、市民それぞれに問われていることです。
 政府が混乱を恐れて情報を隠すようなことを、今後はさせないようにしなければなりません。

*~*~*~*~*~*

 一方、弁護士業務に関して考えてみますと、ネット上でいろいろな情報は溢れかえっています。
 どのサイトがどれだけ信用できるのか。
 私たちも、サイトでの検索で情報を得ますが、同じく信用性に気を遣います。

 弁護士のところへ相談に来られる、または「弁護士に依頼する」と決めてこられる方々は、多く、ネットでいろいろな情報に接し、知識を十二分に得ておられたりします。
 しかし、ご自身の置かれた状況に対して、オーダーメイドで適切な情報はどれか、というところでつまずいておられると思います。

 私たち弁護士も知識には限りがあり、相談者の方が祈る思いでネットを調べ調べて得られた知識に追いつかないこともあります。
 でも、その知識の取捨選択は、実際に交渉の場数を踏み、裁判所の経験を積んだ弁護士との共同作業でこそ、より活かされるのは間違いありません。

 依頼者の方と、この情報過多の社会で適切な針路をとれるように、共同作業をしていきたいと思います。

October 16, 2011

間接事実だけで有罪を認定する場合の新たな判断基準【大橋】

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 日本弁護士連合会が発行する月刊誌「自由と正義」。
 弁護士にとっては情報誌ですから、毎月送られてくるものを、遅れ遅れでも目を通すようにはしています。

 9月号の特集1は「厚労省元局長無罪事件を検証する」。
 大阪地裁で展開された、大阪地検特捜部を揺るがす大事件でした。
 関係する大阪の弁護人も顔見知りの方たちで、マスコミの報道も鋭く、印象深く成り行きを見守っていた事件ですので、興味深く読みました。
 
 特集2は「研究者・実務家それぞれの立場から見た国際司法支援」。
 知り合いの後輩弁護士が、どうも国際司法支援に行きたそうにしているので、これも興味深く感じました。

*~*~*~*~*

 さて、これ以外に私の目を引いたのは、
「刑事裁判の新たな展開を求めて=平成22年4月27日付最高裁第三小法廷判決の分析=」
というタイトルで、東京弁護士会の渡辺脩弁護士が寄稿された記事です。

 日弁連の刑事法制委員会所属の弁護士で、「大阪市母子殺人事件」の意義について委員会内判例研究チームでの検討結果の要約を書かれています。

 「大阪市母子殺人事件」は、2002年、被告人男性が養子(妻の連れ子)の妻及びその子(一歳)をマンション内で殺害した上、その部屋に火を付けたという、殺人2件及び現住建造物放火の容疑で起訴された事件で、無罪を争いましたが、1審・2審と有罪(死刑)判決が出されていたものです。
 昨年4月の上記最高裁判決で、大阪地裁に差戻しされ、現在審理中です。

 この最高裁判決は画期的なものだったということで、ここへさわりを紹介し、私の覚えともしておきたいと思います。

この判決は、「間接事実」だけで有罪を認定する場合、「間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない」等の事実関係が含まれていることを要するという(裁判長藤田宙靖、裁判官田原睦夫、同近藤崇晴、同那須弘平。反対・裁判官堀籠幸男)。

 これは、長年に亘って、「無罪推定の原則」を実質的に形骸化させてきた日本の刑事裁判における事実認定の在り方に、新たな判断基準を導入して、強力な楔を打ち込んだ新判例である。この判決はまた、「裁判員裁判」のもとで、「無罪推定」の原則と、有罪認定のために必要な「合理的疑いを容れる余地のない程度の証明」をどう市民のものにしていくのかという問題意識にも貫かれている。

 これは、すべての弁護人と市民に強く支持されるべき判決である。


 「間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない」等の事実関係が含まれていることを要する、というのがどう画期的であるのか。

 説明によれば、日本の刑事裁判の事実認定において、長年、主流となってきたのは「総合判断」の手法であるといいます。
 「個別に見れば証明力の薄い幾つかの間接証拠の積み重ねの上に、『被告人が犯人であるとすればその全てが矛盾なく説明できるが故に被告人が犯人であるとする』認定手法をいうとのことです。

 確かに、これは判断手法を180度変更したもので、
「この被告人がしたとしておかしくない」 から
「この被告人がしたのでなければおかしい」 への変更です。

 ただし、こんなことも書かれていました。

 その一方で、最高裁判例から判例集に登載する判例を選別して注釈を加える最高裁の「判例委員会」は、4.27判決について、「強力な反対があったため」に、「被告人が犯人でないとしたら合理的に説明することができない事実関係を要する」との「新たな判断基準」を判例要旨に掲げることを見送ったという(山口進、宮地ゆう著「最高裁の暗闘」95頁、朝日新書、2011年)。

 ともあれ、この判決の存在を頭の隅に覚えておくことにします。

October 09, 2011

香川でうどんを食べながら【大橋】

 10月6日、香川県高松市で、日弁連の人権擁護大会シンポジウムが開かれました。

 一般参加OKのシンポが3分科会ありました。
 第1分科会「私たちは「犯罪」とどう向きあうべきか?ー裁判員裁判を経験して死刑のない社会を構想するー」
 第2分科会「「希望社会」の実現~豊かさへの社会保障をデザインする~」
 第3分科会「患者の権利法の制定を求めてーいのちと人間の尊厳を守る医療のために」

 そのうち、私が参加したのは、第1分科会です。
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 かねてから、裁判員裁判を契機に、裁判員に「死刑宣告」の経験を強いずに済む死刑廃止の議論を巻き起こせないか、死刑よりも更生のための処遇を考えられないか、ということを考えてきました。
 これが、5時間にわたるシンポの中で、強いメッセージとなって発せられたことで、私は大変嬉しく思いました。

 北欧の刑務所の処遇を参考にしたのがよかったと思います。日本で死刑執行されたある確定死刑囚の人生を辿り、「もし彼がノルウェーにいたら」との設定で比較するパワーポイントの説明は、なかなか説得力がありました。
 
 大事なのは、犯罪を犯した人を彼岸に置くのではなく、自分と地続きのところで生きている同じ人間だという感覚を持つことなのだと思います。


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 さて、人権擁護大会は、ついでに旅行する機会でもあります。

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 私は、同好の士4名とともに、「讃岐うどんツアー」に向かいました。

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 香川には、聞くところによると、現在1万軒にも及ぶ讃岐うどん店があるそうです。

 私が食すことができたのは、たった4軒だけでしたが、いずれもガイドブックに載るメジャー店でした。

 1軒め 高松市内、お昼時だったので40人待ちくらいの行列。
 2軒め 郊外で、ピーク時ではなくすぐ入れたが、店の大きいのに感心。
 3軒め 郊外の老舗で、午前10時半ころなのに既に大行列。警備員も出ている。お店は小さめだが大駐車場が3つ、ツアー客が観光バスで訪れるのに驚く。
 4軒め 昼時だが行列はなくてすぐ食べられた。ロゴ入りTシャツを売っているのに目を引かれる。

・・という具合。

 私はそんなに食通ではないので、どれがどううまいか、といったことは評価しかねるのですが、考えたのは「参入障壁」です。

 うどんはせいぜい500円前後ですから、何軒回って食べてもお手頃で、かつお腹に限度があります。
 押しかける家族連れ、若いカップル。
 ただ、彼らも私たちのように、ガイドブックを見ながら「こことここ」と決めて回っていると思われますので、ガイドブックに載ってよい評価を書いてもらわないと、お客が回ってこないと思われます。

 急膨張している「老舗」より、工夫を凝らしている新参のうどん屋さんの方が、もしかするとよい味を出しているかも知れません。
 しかし、限られたお腹のキャパシティと時間の中で、新参のうどん屋さんを体験してみようということにはなりにくいのではないか。

 ん? もしかしてこの思いは、競争を増す弁護士業界でいかに頭角を現すかの問題と同じでは?

 でも、とにかく讃岐うどん業界の皆さま、工夫を凝らして、押し寄せるうどんツアー客をゲットしてください。

青森・六ヶ所村で【大橋】

 最近、青森の六ヶ所村へ行く機会がありました。

 六ヶ所村は、青森県の下北半島の付け根部分(太平洋側)にあります。
 「日本原燃株式会社」が操業する「原子燃料サイクル施設」(ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、再処理工場など)が存在することで有名です。

 東日本大震災から生じた福島第1原発の事故で、大気中に撒き散らされてしまった放射性物質が大きな問題となっています。
 
 しかし、放射性物質は「事故だから出てきてしまった」のではなく、原子力発電を行う限り「放射性核廃棄物」として必ずその処理が問題となるはずのものです。
 この処理を行う施設が、六ヶ所村にあるわけです。

 PRセンターでその仕組みを見ていますと、放射性物質はガラス固化体にして危険が少なくなるまで保管するとか、放射能の帯び方が少ないものはコンクリート詰めにするとか説明されていますが、「完全に放射性物質を外に出さない」という処理ではないことがわかります。

 放射性物質の濃度が低くなった段階で、最後には大気中に放出するとか、廃液を海中に放出するとかいうことが説明されています。

 でも、放射性物質の濃度が一定水準以下であれば「健康に問題ない」とは、科学的に証明されていません。
 (そのことを「閾(しきい)値が存在しない」という言葉で説明されていますね。)

 危険な核のゴミが、各原子力発電所から六カ所村に運ばれて、まだ軌道に乗っていない「核燃料サイクル」のために集結していっている状態です。

 ここも、地震・津波で危険が生じることに変わりありません。

*~*~*~*~*~*

 さて、この六ヶ所村に再処理工場を造らせない、また核廃棄物を運び込ませないために、かつて大きな運動が展開されていました。
 このことを私はよく知りませんでしたが、現地で「花とハーブの里」を運営しておられる菊川慶子さんの著書、
「六ヶ所村 ふるさとを吹く風」(影書房、2010年9月)
を読んで、六ヶ所村で起こったできごとと、運動の中心を担われた菊川さんの個人史・思いを知ることができました。

 「花とハーブの里」は、とてもおしゃれなサイトで、今年春まで行われた「チューリップ祭り」や、「核燃に頼らない村作り」のためのルバーブジャムの製造販売などを紹介しています。

 この著書を読んでみると、子どもたちのために、将来のために、息長い取り組みをしたいという思いがよく伝わります。
 皆さんにもこの本を読んでいただきたいのですが、その上で、このルバーブジャムなどお求めいただいたらいかがでしょう?

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 この、雑草の中にある、大きな葉を茂らせているのがルバーブです。
 例えて言えば「フキ」のように、茎を食用にするそうですが、熱を加えるとトロトロになり、酸味があって、砂糖を入れて煮詰めてジャムにするとのこと。繊維が多くて、美肌によいとか。
 青臭くないかな?と思いましたが、美味しいです。
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 青森の人は、大阪人から見ると(私のルーツは浜松ですが) 、本当に控えめでシャイな感じです。
 青森で、方々の原発から出た核廃棄物を黙って抱えている状況に甘んじることなく、既に直面している「核のゴミ」問題を考えなければなりません。
 「各地へ核廃棄物を引き取ってほしい」というのが、現地の人々の偽らざる思いなのです。

 
 

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